夏の風物詩 地域に活気 二大七夕実施(動画あり)

 陸前高田市高田町の「うごく七夕」と気仙町今泉地区の「けんか七夕」は、7日に催された。両地区は東日本大震災で甚大な被害を受けたが、住民が力を合わせ、伝統行事である七夕を続けてきた。今年も華やかな山車が地域を彩り、夏の風物詩を満喫する多くの住民で活況を呈した。(6面に関連記事あり)

 

山車でつながる地域の絆/高田町・うごく七夕

各祭組の山車が行き交いにぎわう七夕ロード


 今年は九つの祭組が山車を運行。大石、鳴石、駅前、中央、大町、荒町、長砂、和野、川原の各祭組が、昼夜それぞれに趣向を凝らした山車を引いて高田町内を練り歩き、先祖の霊が帰る際の目印とされる竹飾り「ナンバン」も掲げて街に活気を呼び込んだ。
 昨年に引き続き、今年もアバッセたかたやまちなか広場の前を通る「七夕ロード」にすべての山車が集まる時間帯を昼と夜に設定。時間になると、豪華絢爛な各山車がルートを周回し、活力に満ちた祭り囃子と引き手らのかけ声があたりに響きわたった。
 うごく七夕実行委員会の石川宏会長(73)は「心配していたほど雨が降らず、無事に実施できて良かった。年々人手が減っている中、所属する祭組がなくて参加できずにいた小中学生に声をかけて参加してもらおうという動きもある。子どもたちがまつりに参加できる機会を増やしていければ」と話していた。
 和野はこの日、解散した旧森の前七夕祭組から譲り受けた山車を改修し初めて運行。森の前のイメージカラーと、市制施行70周年の祝福という意味を込め、紫やピンクを基調にした装飾を施した。及川洋太郎会長(68)は「運行は順調。森の前の皆さんにも喜んでもらえればうれしい」と晴れやかな表情で語った。
 一方、大石の山車では、数年前に旧森の前から譲られた太鼓がお囃子で使われた。今年は、七夕ロードで和野が改修した山車との〝共演〟が実現し、大石のメンバーらは「祭組ごとに競い合いながらも、地域のつながりが見えるのがうごく七夕。感慨深いものがある」などと語らった。
 昼の部で太鼓をたたいた菅野翔太さん(高田小5年)は「他の祭組に負けないようにたたいた。夜はもっと声を出したい」と笑顔を見せていた。(阿部仁志)

 

激しいぶつけ合いに観衆沸く/気仙町・けんか七夕

山車と山車を激しくぶつけ合う「けんか」を行い、活気を呼び込んだ

 けんか七夕は、祭り保存連合会が主催。今年は山車1台の土台上部の四本柱を新調し、昼と夜に山車2台を激しくぶつけ合う「けんか」を繰り広げ、観衆を沸かせた。
 午前中には、地元の小中学生や未就学児が山車の練り歩きに参加したほか、太鼓と笛の演奏を披露。「けんかの練習」として、子どもたちを乗せた山車2台を軽くぶつけ、伝統行事を味わう機会もつくった。
 太鼓を最初にたたく「叩き出し」を担当したという気仙保育所年長児の佐々木崇利ちゃん(5)は「はじめに太鼓をたたくところが楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。
 気仙小の菊地蒼馬さん(5年)は山車の中で太鼓をたたき、「めったに経験できないことなのでとてもうれしかった」と目を輝かせ、「地域の人たちが全員で伝統を引き継ごうとしている。自分も受け継ぎたい」と話した。
 900年以上続くとされるけんか七夕。震災で壊滅的な被害を受けても途絶えさせず、近年は深刻な担い手減や運営資金不足の課題を抱えながら続けている。
 小学3年のころから、千葉県から毎年欠かさず駆けつけている麗澤大2年の広瀬隆翔さん(19)=千葉県富里市=は今年も会場を訪れ、「人手不足を背景に、全国各地にある伝統的なまつりの開催が危ぶまれている。けんか七夕は震災の影響を受けながら、住民が企業などの協力も得て続けており、伝統行事を持続させるロールモデルになると思う」と熱心に話した。
 保存連合会の平野晃部長(45)は「今年もなんとか山車が形になり、ほっとしている。けがなく、安全・安心に実施することが何よりも重要。そのうえでみんなで楽しめればいい」とほほ笑んだ。(高橋 信)