東朋・大船渡が初優勝 秋田で東北少年軟式野球大会 3年生引退前に有終の美
令和7年8月9日付 6面

第29回東北少年軟式野球大会(東北軟式野球連盟主催)はこのほど、秋田県湯沢市の稲川野球場で開かれ、本県代表として挑んだ大船渡市の東朋・大船渡連合が初優勝を果たした。昨年は初戦敗退を喫し、リベンジに燃えた今大会は、2度の劇的なサヨナラ勝ちで決勝に進み、最後は相手に付け入る隙を与えない完勝で頂点に立った。猛暑の中でもチーム全員がそれぞれの役割を発揮し、最後まで粘り強く戦い抜き、3年生引退前の大舞台で有終の美を飾った。
今大会には、県代表として東朋・大船渡のほか、陸前高田市の高田第一が出場。東北6県8チームでのトーナメント戦(7イニング制)で争った。
東朋・大船渡の1回戦の相手は桜丘(宮城県)。互いに点を取り合い、2―2の同点で迎えた最終回、1死一塁から送りバントを処理しようとした相手投手の送球が逸れると、その間に一走が一気に本塁を狙い生還。一瞬の隙を逃さずサヨナラ勝ちを収めた。
準決勝の湯沢南・山田(秋田県)戦は、二回までに5点をリードしたが、三回に守備の乱れなどから同点に追いつかれた。最終回、2死ながら二塁に走者を置いた場面で、代打・中嶋暖人選手(東朋2年)が左翼線への適時打を放ち、2試合連続のサヨナラ勝ちで決勝に駒を進めた。
南黒アブレイズ(青森県)との決勝は、初回に1点を先制すると、三回に打線がつながり一挙5得点で突き放した。六回には山口大将選手(東朋3年)の右前適時打で1点を加え、7点差のコールドゲームが成立。守備では先発の葉澤洸介選手(同)が参考記録ながら無安打無得点を達成するなど、投打がかみ合う完勝で東北一をつかんだ。
決勝で快投を見せた葉澤選手は「腰のけがもあって調子が上がらなかったが、先発に指名され、監督を信じて『やるしかない』と投げた。今シーズンで一番良い投球ができた」と振り返った。
県大会で思うような結果が残せない中でも諦めることなく、連合する2校の選手たちが助け合い、高め合ってきた。
東朋の須賀隆翔主将(3年)は「最後は全員で声を出し、一つになって東北優勝の目標を達成できた。うれしいし、みんな笑顔しかなかった。今の自分たちがあるのは、父母会や指導者の支え、そして仲間、後輩たちの力があったから」と語り、「1、2年生は県優勝を狙える力がある。うまくいかないこともあると思うが、胸を張ってプレーしてほしい」と思いを託した。
大船渡の馬場陽生主将(同)も「県代表として最後まで全力でプレーできた。笑って終われるのも、このチームでしかできないこと。この経験を今後に生かしたい」と話した。
主な大会結果と優勝した東朋・大船渡のメンバー次の通り。
▽1回戦
東朋・大船渡 3―2 桜丘
いわき中央 7―0 高田第一
(五回コールド)
▽準決勝
東朋・大船渡 6―5 湯沢南・山田
▽決勝
東朋・大船渡 7―0 南黒
(六回コールド)
※東朋・大船渡連合▽監督=磯谷幸喜▽コーチ=鈴木賢太、吉田元気▽選手=須賀隆翔(主将)、山口大将、河原凪、東龍翔、志田栄駿、熊谷柊真、葉澤洸介、山崎海夢、鈴木詠介、馬場陽生、佐藤優真、只野大智、鈴木陽翔、熊谷理一、木下太陽、田村百春、中嶋暖人、柳瀬佑生、米澤蒼羽、村上煌成、熊谷夏樹、佐野敏希、笹野綾太