復旧区域選定の流れ示す 第2回林地再生対策協議会 9月に地域説明会開催へ

▲ 森林復旧の進め方などについて協議した林地再生対策協議会

 大船渡市大規模林野火災に伴う第2回市林地再生対策協議会(委員7人、会長・山岸健悦郎市農林水産部長)は8日、市役所で開かれた。激甚災害指定に伴い、市が実施する森林災害復旧事業区域を選定する流れなどを協議した。事業の長期化や膨大な業務量が予想される中、被害程度が甚大で、保全対象内の面的な整備が可能な森林とし、所有者意向を確認しながら進める。9月には所有者向けに説明会を開催する。
 協議会は5月22日以来の開催。委員は市や県、林野庁、県森林組合連合会、気仙地方森林組合の各関係者で構成し、この日は環境省や国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センターなどからのオブザーバー参加や代理者も含め11人が出席した。
 冒頭、山岸部長は「今後の復旧のあり方について意見を交わしていただく」とあいさつ。その後の議事は非公開で進められた。
 配布資料や終了後の説明によると、森林復旧の進め方については、被災面積が約3400㌶に及ぶ中、局地激甚災害指定で適用される森林災害復旧事業を最大限活用することを念頭に置きながらも、計画期間や作業人員確保、財源確保に難しさを抱える中、利用可能な他事業も活用し、森林の公益的機能の現状復旧を図る。
 被災森林のうち、被災森林の約50%に当たる約1700㌶の人工林から、条件に沿って事業適用区域を絞り込む。天然林は、天然更新による自然復旧を基本とする。
 県が進める被害調査で「大(高さ2㍍以上の焼損)」「激(立木の全体・大部分が焼損)」の判定となり、居住地や大船渡湾、漁場、ダムなどの重要インフラといった保全対象を勘案しながら選定。面的な整備を重視し、5㌶以上のまとまった区域(複数の森林所有者であっても可)のうち、所有者の復旧意向を確認したうえで、森林災害復旧事業を導入する。
 条件に全て合致する区域でも、一部で森林整備センターの水源林造成事業を活用。被害木が「中(高さ2㍍程度までの焼損)」「小(根元30㌢までの焼損)」の状況に加え、面的整備が難しい場合は、森林所有者等が行う森林整備事業を活用して進める。この場合、所有者負担が発生する見通しだが、市側は「何らかの措置を講じたい」との考えを示す。
 局地激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業は所有者の負担はなく、被害木などの伐採・搬出、伐採跡地の造林(シカ食害対策を含む)、森林作業道開設などが事業内容となる。市の財政的な負担は実質10分の1。引き続き森林所有者の意向確認などを進める。
 6月30日に国に提出した令和10年度までの被害木等整理・跡地造林計画は赤崎町や三陸町綾里の計約120㌶で、事業費は7億9372万円。現地調査や森林所有者の意向確認が完了し、計画量と事業費を精査した。
 被害が甚大で、土砂災害の危険性など市民生活に影響が懸念される区域を先行的に計画概要書に盛り込んでいる。順次計画量などを追加しながら国の災害査定を受け、最終的には年内に計画量や事業費を確定させる。
 地域説明会は9月12日(金)に蛸ノ浦漁村厚生施設で、同16日(火)には綾姫ホールでそれぞれ午後7時から開催。いずれも同じ内容で、被災した森林所有者や管理者を対象とする。
 3回目となる次回協議会は、10月以降の開催を見込む。内容は▽被害調査の実施状況報告▽森林災害復旧事業に係る意向調査の状況▽森林に係る復興計画案──の各審議を見据える。