産業支える仲間増やしたい 小友町のワカメ生産者・三浦さん 22日までクラ ファンに挑戦 ヘアケア商品に「元茎」活用(別写真あり)
令和7年8月13日付 2面

陸前高田市小友町の漁業・三浦尚子さん(34)は22日(金)まで、ワカメの未利用部分である「元茎」を活用した新たなヘアケア商品の発売と、1次産業の今後をともに考え、支えてくれる仲間を増やすことを目的としたクラウドファンディングに挑戦している。この挑戦を通じ、新商品はもちろん、漁業者として感じてきた気候や自然環境の変化、1次産業の生産背景などを広く発信し、陸前高田に足を運んでもらうきっかけにもしたい考えで、協力を呼びかけている。(三浦佳恵)
三浦さんは神奈川県相模原市出身。東日本大震災後、大学のゼミで応急仮設住宅が整備された小友町の旧オートキャンプ場・モビリアを訪問し、ボランティア活動を通じて地域住民らとの交流が生まれた。その後、ワカメ養殖のアルバイトをきっかけに漁業の魅力に触れ、平成26年に陸前高田に移住した。
同町のマルテン水産に勤務し、ワカメやカキ養殖に従事。令和2年には、広田湾漁協で初の女性正組合員に登録され、市の「がんばる海の担い手支援事業」の認定を受け、ワカメ養殖漁業者として独立した。
現在は同社で働きながらワカメを生産し、今年からはかご漁にも挑戦。ワカメは少しずつ漁場を拡大しており、来春からの塩蔵出荷を目指して検討を進めている。
漁業者としてワカメを生産する中で、廃棄処分としていた「元茎」の活用を模索。日光や潮風にさらされて傷んだ自身の髪のケアに生かせないかと、令和2年頃から構想を練り始めた。
4年には、元茎から抽出したワカメエキスや植物などの天然由来成分を配合したシャンプーとコンディショナー(各300㍉㍑ボトル入り、税込み4500円)を商品化。海の仕事で感じた諸課題から、自然と人が寄り添う暮らしを目指したライフスタイルブランド「ura(うら)」を立ち上げ、同年5月にECサイトや市内店舗などで販売を始めた。
発売から3年余りがたち、愛用者や営業先からはシャンプー、コンディショナーの詰め替え用が求められるようになった。環境配慮の面からも必要だとして開発を進め、バイオマスパウチ容器の詰め替え用(各200㍉㍑、同3300円)を販売することにした。
今回のクラウドファンディングでは、詰め替え用の製造やワカメエキス抽出、デザインなどにかかる費用に充てるため、200万円を目標に協力を募っている。また、この取り組みを通じ、漁業者として感じる自然環境の変化、1次産業での新規就業や事業拡大における課題の一つ、マンパワーの必要性を発信し、仕事の補助、相談相手などとして応援してくれる仲間をつくっていきたい考えだ。 三浦さんは、「取り組みを通じて、仕事で相談できたり、一緒に働いてくれる方を募り、自然環境を考えるきっかけにしたい。広く応援と支援をお願いしたい」と話している。
協力者には、uraの商品をはじめ、陸前高田でのワカメ作業・地域体験などの返礼品を用意。詳細は、別掲のQRコードから確認できる。詰め替え用は、クラウドファンディング終了後に販売を開始する。