水辺に光る 夏の風物詩 キャッセン海灯り 須崎川で灯ろう流し 亡き人に心を寄せて(別写真あり)
令和7年8月19日付 1面

大船渡市大船渡町のキャッセン大船渡エリアに位置する須崎川親水広場で16日夜、「キャッセン海灯り」が開催された。涼しさを感じさせる風が漂う中、供養の灯ろうが川面に光をもたらしながら、ゆっくりと流れ、地域住民や帰省客らが静かに見守りながら亡き人への思いをはせた。
市民有志で構成する海灯り実行委員会(小泉洋委員長)が主催し、キャッセン大船渡(田村滿代表取締役)と本増寺(木村匡宏住職)が共催。東日本大震災の復旧・復興事業で整備された市街地で先祖や震災犠牲者の冥福を祈ろうと、今年で8回目を迎えた。
開催に合わせ、親水広場に隣接するキャッセン大船渡の「千年広場」には竹明かりが用意された。今年は好天に恵まれ、夕暮れから夜へと空の色が変わっていく中で法要が行われ、初盆を迎える家族連れや帰省客らが竹明かりの前に参列した。
冒頭、小泉委員長は「皆さんのおかげで、今年も開催することができる。先祖の方々、災害や震災で亡くなった方、戦争で命を落とした方をはじめ、さまざまな人に思いをはせてほしい」とあいさつ。田村代表取締役も、人が人を思う大切さに触れながら「存分にこの日を満喫してほしい」と期待を寄せた。
実行委員会メンバーでもある木村住職らによる法要が執り行われ、柔らかな竹明かりの光に包まれた祭壇に向かって参列者が焼香。須崎川に架かる桜橋付近からは、約250個の灯ろうが次々と流された。
今年は少雨や潮の流れの影響で、灯ろうが川にとどまる時間が長く、だいだい色の光が水面に揺らめいた。灯ろうがつるされた船はゆっくりと漂い、幻想的な雰囲気を演出した。
川岸の親水広場では、ボランティア参加者だけでなく、流れ着いた灯ろうを並べる作業を参列者が手伝う光景も。亡くなった大切な人に心を寄せながら、来年も灯ろうを流して思いをつなぐ意思を確かめ合った。
灯ろう流しに先立ち、「お絵かき灯ろう」ワークショップを開催。千年広場には、地元の子どもたちがイラストを施した灯ろうも並び、竹明かりとともに幻想的に光が連なった。(佐藤 壮)