総合計画推進へ意欲 町議会臨時会 神田町長が3期目の所信表明

▲ 所信表明演述を行う神田町長

 住田町議会の臨時会は19日に開かれ、先の町長選挙で当選し3期目に入った神田謙一町長が所信表明演述を行った。神田町長は本年度スタートした町総合計画の着実な推進に意欲を示し、人口減社会への対応を図りながら、1期目から掲げる「医」「食」「住」の充実に「地域経営」を加えた四つの政策軸を基に、地域に根ざした政策を展開しながら町政運営にあたっていく考えを述べた。(清水辰彦)


 臨時会には全12議員が出席。神田町長は冒頭、「町長選挙において、町民、議員の皆さまのご支援をいただき、3期目の町政をスタートできた。無競争という結果は、これまでの2期の取り組みが一定の評価をいただいたものと受け止めており、一層努力していく」と、自らの思いを語った。
 同町では本年度、令和11年度までの5カ年を期間とする新たな総合計画がスタート。神田町長は1期目就任以来、重点施策として掲げてきた「医」「食」「住」の3項目に、新たに「地域経営」を加えた4項目を現計画の政策軸に位置づけており、各政策における取り組みの方向性も示した。
 「医」分野では本年度、安心して子育てできる体制を確保するため、「産後ケア事業」を開始。限られた医療資源を有効に活用するため、訪問看護ステーションへの支援を継続し、オンライン診療の普及拡大についても関係機関との協議を進めていると説明。
 「食」の農業分野においては、担い手への農地集約を促進するため、小規模基盤整備に対する新たな補助金を創設したほか、耕畜連携事業として高機能バイオ炭の利用拡大に向けた取り組みを引き続き推進していく考え。林業分野では、事業体の人材確保支援を目的に、事業体への新規就業を前提とした林業応援隊の設置についても示した。商工業分野では、既存商品のブラッシュアップや新たな特産品の開発・販路開拓も進める。
 「住」では、安心して快適に暮らすことができるよう、町道や橋りょうといった社会基盤の修繕、補修、防災体制の整備、防犯・交通安全対策の展開について語り、公共交通に関しては町内の一部でデマンド交通、公共ライドシェアの試験運行を行いながら本格導入に向けた検討を進めていく方針。
 新たに政策軸に加えた「地域経営」では、関係人口分野で「地域力創造アドバイザー制度」と「地域活性化起業人制度」を活用して町内事業者の課題解決を支援する。また、安定的な財源確保の一環として、ふるさと納税制度による寄付金の増収を目指し、ポータルサイトでまちづくりを積極的にPRしながら、返礼品の魅力向上とラインナップの充実に努め、近隣自治体との共通返礼品の創出にも取り組んでいく。
 総合計画の中では、全庁挙げて取り組むべき施策として▽新たな公共交通▽人づくり▽在宅医療介護▽移住促進▽産業づくり(地域内付加価値創造)▽コミュニティー活性化──の六つのプロジェクトを定め、重点的・分野横断的に進める。そのために町の関係部局や機関で構成するプロジェクトチームの体制構築も図っている。
 これらまちづくりの方向性を示した神田町長は、結びに「これからの町政運営では、限られた人的・財政的資源の中で、人口減少や高齢化の進展、経済環境変化、自然災害リスクの増大といった課題に立ち向かうため、不断の努力が求められる」と言及。そのうえで「この住田町を次の世代につなぐため、一歩ずつ着実に進んでいく決意。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、対話と協働を大切にしながら支え合い、未来に誇れる住田町を築いていこう」と力を込めた。
 同日はこのほか、7年度一般会計補正予算案も可決。歳入歳出にそれぞれ1589万円を追加し、総額を53億9988万円とするもので、主な歳出は新型コロナウイルスワクチン接種委託料の979万円など。県後期高齢者医療広域連合議会議員の選挙では、神田町長を選出した。