観光地にも水不足の影響 上有住の滝観洞 「滝流しそば」提供に不安
令和7年8月21日付 7面

冷涼を感じる観光地として夏場に人気を集める住田町上有住の観光地・滝観洞。今夏も、県内外からの多くの観光客でにぎわっており、長いパイプから流れてくるそばを味わう「滝流しそば」にも連日、長蛇の列ができた。盆期間中、予想を上回る好況でそばの在庫がなくなったため22日(金)まで提供を休止しているが、水不足によって、23日(土)以降に再開できるかが不安視されている。休止が続けば売り上げへの影響は避けられず、センター関係者は〝恵みの雨〟を待ち望む。(清水辰彦)
滝観洞は全長3635㍍、高低差115㍍におよぶ国内屈指の鍾乳洞で、洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。洞口から約880㍍地点には高さ約60㍍に及ぶドーム型の空間があり、その天井部の裂け目から落差29㍍の「天の岩戸の滝」が注ぐ。昭和41年に洞窟開きが行われて以来、洞を管理する滝観洞観光センターとともに、町が誇る観光資源として広く親しまれている。
昨年4月末の同センターリニューアルオープン以降、多くの観光客が訪れており、今夏も入り込みは好調。
センターを指定管理する住田観光開発㈱によると、今月9日~17日までの入洞者は計4860人で、昨年同期を1800人ほど上回っている。2月から数えた入洞者もすでに1万4000人を超え、早くも1万5000人に達する見込みだ。
洞内の探検と同様に人気を集めているのが、センター内で提供されている名物の「滝流しそば」。天の岩戸の滝を模し、長いパイプから流れてくるそばを味わうもので、盆期間中は1日当たり約180食が提供され、9月分までの在庫が底を突くという〝うれしい悲鳴〟が聞こえた。
このため、22日まで滝流しそばの営業を休止し、在庫確保後の23日から再開を予定していたが、水不足の影響で見通しが定かでない状況となっている。
同センターには、川の上流から引いた水が浄水施設を通って供給されているが、今年は6月から記録的な小雨が続いており、センター周辺を流れる川は例年と比べて明らかに水量が少ない。センター職員の一人は「こんなに水が少ない状況は初めてだ」と語る。
同社の千葉孝文専務は「水量が弱いとそばが流れづらくなる恐れもあるし、そばをゆでたり、洗い物をしたりするのも多くの水を使う。貯水タンクにも水はあるが、今後どうなるか、様子を見ながら判断するしかない」とそばの提供再開への不安を口にする。
今年は滝流しそば目当ての観光客も多く、1時間待ちとなることもあった。休止が長引けば、売り上げにも大きな打撃となる。
加えて滝観洞内も水量が少なくなっており、普段はごう音を響かせながら流れ落ちる天の岩戸の滝も、その姿が弱々しくなってきている。
千葉専務は「雨が降らないと滝観洞だけでなくさまざまな所に影響が出てくる。晴れた方がお客さんの入りは多いが、適度に雨が降ってほしいというのが本音」と空を見上げる。