絆育む事業 本年度も実施 SUP体験や震災学習などプログラム多彩に 陸前高田と名古屋の中学2年生(動画、別写真あり)

▲ さまざまなプログラムで絆を深めた両市の生徒たち

 陸前高田市と愛知県名古屋市の中学2年生による絆交流事業は19、20の両日、陸前高田市内で行われた。東日本大震災をきっかけに両市教委が締結した絆交流に基づく事業で、今回で13回目を迎えた。一緒にマリンレジャーを楽しんだほか、震災伝承施設を巡るなど、豊かな自然を誇るとともに、14年前の津波の教訓を刻む陸前高田ならではのプログラムを通じて友情を深めた。(高橋 信)

 

初日は石浜海岸でSUPを体験

 陸前高田市20人、名古屋市36人の中学2年生が参加。19日は広田町の石浜海岸でSUP(スタンドアップパドルボード)や磯遊びを体験したあと、高田町のキャピタルホテル1000で夕食を兼ねた交流会を行った。
 20日は高田町の奇跡の一本松ホールで歓迎式が開かれ、生徒たちは背中に「絆」と書かれたそろいのポロシャツ姿で出席。市民を代表し、佐々木拓市長が「震災時、一番苦しかった時に手を差し伸べてくれた名古屋の皆さんとの交流が今も続いていることを感激している。この関係がこれからも永遠に続くことを願っている」とあいさつした。
 続いて、高田町の甘酒専門店「AMAZAKE STAND(アマザケ・スタンド)」陸前高田製造所オーナーの小西莉絵さん(33)が講演。震災の経験や同店創業の経緯を伝えたうえで、人との出会いの素晴らしさについて説き、「出会いは人生をカラフルにする。中学生の時の悩みは複雑だが、モヤモヤした気持ちは変わりたいという証拠で、それは成長の材料になる。失敗も経験の一つであり、必ず学びがある」と呼びかけた。
 その後、地元内外のミュージシャンが制作した同事業のテーマソング『未来への翼』を合唱。市立博物館を見学後、陸前高田市の中学生が気仙町の震災津波伝承館や奇跡の一本松を案内し、津波の教訓を学び合った。
 歓迎式で司会進行役を務めた高田東中の村上優茉さんは「とても緊張したが、貴重な経験をさせてもらった。素晴らしい交流で、後輩たちにも参加するよう勧めたい」と意義を感じ取っている様子だった。
 名古屋市・鳴子台中の川口紗和さんは「名古屋とは違う風土で、海の風が気持ちよく、空気が澄んでいるように感じた。陸前高田の同い年の中学生と一緒に交流できるとても貴重な機会。参加できて良かった」と楽しげに話した。
 両市教委は震災翌年の平成24年に絆協定を、両市は26年に友好都市協定を締結。絆交流は毎年実施されており、夏は名古屋市の中学生が陸前高田市を、冬は陸前高田市の中学生が名古屋市を訪問している。
 陸前高田市教委の山田市雄教育長は「成長を実感できたという声を参加した生徒から聞くことができている。得た力をこれからの学校生活の中で生かしてほしい」と期待を込めた。
 名古屋市教委の杉浦弘昌教育長は「大きくなったときにこの日のことを振り返り、青い空、青い海、白い砂浜の地でさまざまなことを経験したと思ってもらえたらうれしい。今回の交流が心に深く刻まれ、未来を担う人材として活躍することを願っている」と語った。