高温少雨に農家悲鳴 気仙地方 野菜の生育不良、害虫被害など
令和7年8月22日付 1面

記録的な高温と少雨に見舞われている気仙で、夏野菜の生育に悪影響が生じている。陸前高田市内のピーマン農家は変色や生育不良、害虫被害などで昨年同期より3分の1ほど収量が落ち込み、「秋雨を祈るしかない」と嘆息を漏らす。
「今年の夏は特に暑いし、雨が少ない。こんなに日照りが続くと、水やりをはじめ作業負担が増す。生育管理が本当に大変だ」。
陸前高田市小友町のピーマン農家・村上強さん(54)が、ほ場のピーマンを見つめながらそうつぶやく。
自宅周辺など2カ所約18㌃の畑でピーマンを栽培している村上さん。今夏は高温少雨の影響で、実の一部が黒く変色する「尻腐れ」が例年より多く発生したという。症状を防ぐためにも、朝夕2回の水やりは欠かせず、「適度に雨が降ってくれれば、水やりの頻度も減るのに…」と嘆く。
北日本では19日から断続的に発達した雨雲がかかり、県内では内陸と沿岸北部で記録的な大雨となった。
盛岡地方気象台によると、19日午後1時の降り始めから21日午前5時までの降水量は雫石で150・5㍉、滝沢で138・5㍉、盛岡・好摩で119・5㍉を観測。気仙では大船渡における21日の24時間降水量が0・5㍉にとどまり、恵みの雨とはならなかった。
村上さん方では、今季の収量が前年同期より3、4割減っている。一方で、酷暑に伴い、害虫対策は例年より強化する必要があり、「肥料など経費は増すばかり。採れる農作物が減るのにコストが増えて厳しい」とため息をつく。
大船渡市農協(JAおおふなと)は7月、4年ぶりに夏秋野菜出発式を実施。市農協によると、本年度の生産販売目標は、キュウリ23万8000㌔、ピーマン10万2000㌔、トマト9750㌔、ズッキーニ3万1950㌔、タマネギ1万4100㌔、菌床シイタケ5万9500㌔を掲げているが、農協職員は「猛暑、少雨の影響で集荷量の低下が懸念される」と話す。
盛岡地方気象台の週間天気予報によると、21日から28日(木)までの沿岸南部は前半は晴れや曇りで、後半は曇りが多くなる見通し。最高気温は30度前後の日が続くとみられ、23日(土)以降の降水確率は20~50%で推移する。