開催見送りの三陸花火 チケット返金遅延問題 実行委「資金残ってない」 購入者におわびメール 返す時期「約束できない」 

▲ 昨年秋の三陸花火競技大会

 5月4日に予定されていた陸前高田市の三陸花火大会(実行委主催)が開催見送りとなったことを巡り、観覧チケット購入者への返金が進んでいない問題で、実行委から購入者に対して「返金に回す資金が手元に残っていない」との内容のメールが送られていたことが分かった。メールでは「すべてのチケットを返金する方針」「必ず返金する」とする一方、「現時点で返金完了時期は約束できない」との記載もあり、購入者から「全く納得できない」と非難の声が聞かれる。実行委はメールで、秋に予定していた大会を開催しないことも明かした。(高橋 信)

 

「全く納得できない」非難の声

 

 チケット代金の返金を待つ宮城県在住の50代女性は21日昼ごろ、実行委からのメールを受信した。返金が滞っていることへのおわびや、その理由、今後の状況報告の予定などについて記されていたという。
 女性によると、メールには返金が進んでいない理由として「大会の開催準備や運営に伴う支払いに資金を充てたため、返金に回す資金が手元に残っていない。資金を新たに用意する必要があり、返金完了までに大きく時間を要している」との説明があった。
 また、「当初は秋大会の開催を目指し、チケット振り替えによる対応の可能性も検討していたが、返金を最優先すべきであること、新たな開催資金を確保できないことから、誠に残念ながら開催を断念した」と、今秋の大会中止を発表。「これにより、すべてのチケットを返金させていただく方針とした」と示した。
 そのうえで、「返金対応に相応の時間をいただくことになるが、すべての購入者に返金を行う方針は変わらない。時間がかかるが、必ず返金する」とした。
 また、一部の人に「7月中旬に返金する」と連絡していたにもかかわらず、期限を守らなかったことにも言及。「皆さまのご期待を裏切る形となり、大きな不信感を招いてしまったことを重く受け止める。返金に向けて全力で取り組む」と謝罪した。
 一方で、「現時点で返金完了時期は約束できない」とし、進ちょく状況については9月中に報告すると説明。実行委の人員不足に伴い、個別の対応は難しいとして、今後はチケット販売のウェブページ(大会公式サイトは閉鎖済み)で情報を更新するとし、共催者の陸前高田市をはじめ、他団体への問い合わせも控えるよう求めた。
 このメールに対し、女性は「全く納得できない」と語る。「花火を見るために支払ったお金を返してほしいという、ただそれだけのこと。ずっと待っていたのに、結局、見通しが分からず、『これからもただ待ってほしい』と言われても、受け止めることは難しい」と不満を口にする。
 実行委の浅間勝洋委員長は7月25日、東海新報社の電話取材に応じた。その際、返金希望者などの状況を精査したうえで、8月1、2日ごろに購入者にメールを送った後に改めて説明するとし、返金が済んでいない人数などについて回答を避けた。
 しかし、購入者へのメールは21日までずれ込み、対応が後手に回っていることが露呈した。東海新報社は同日と22日、浅間委員長に連絡を試みたが対応はなく、全容は不透明のままとなっている。
 7月25日に浅間委員長とオンラインで面談した市商工交流部は「実行委には、返金を待つ方々に対して誠意ある対応をお願いしたい」と求めている。
 5月の三陸花火は、実行委の資金不足を理由に、本番まで2週間を切った4月下旬に開催見送りが決まった。高田松原運動公園に設ける有料席の購入者は約1700組で、実行委はチケット代金を全額返金する方針を示していた。