機能別団員制度導入を検討 消防団員減踏まえ 来年4月の運用開始計画

▲ 機能別消防団員制度などの団員確保策について協議した委員

 陸前高田市消防委員会(渡邊克己委員長、委員9人)は21日、高田町の市消防防災センターで開かれ、消防団員の減少傾向を踏まえ、特定の活動を補う「機能別消防団員」制度の導入に向けて検討する方針を確認した。今後、関係団体から意見聴取し、運用開始は来年4月1日を構想している。
 全委員と佐々木拓市長、市消防本部の及川貴美人消防長らが出席。議事では、令和6年度事業報告、7年度事業計画、団員の確保対策、市消防団の再編について協議した。
 団員の確保対策に関しては、機能別消防団員制度の導入などについて意見を交わした。
 団員数は4月1日時点で487人で、定数639人に対する充足率は76・2%。昭和60年には843人が在籍し、充足率は97・5%に上ったが、令和2年には586人となり、充足率は67・7%まで落ち込んだ。こうした状況を踏まえ、令和4年に定数を865人から639人に減らした。
 機能別消防団員制度は、従来の基本団員とは異なり、特定の活動や役割に限定して参加する団員の身分や処遇を定めるもの。担い手不足の加速を背景に、全国的に導入する動きが広がっている。
 活動内容は災害時における基本団員の活動支援とする。要件は基本団員、または消防職員として5年以上の活動経験を持つ人で、年齢制限については今後検討する。
 報酬は年間1万2000円程度で、出動報酬は基本団員と同額の1日当たり最大8000円を想定。今後、関係団体から意見を聞いたうえで、要綱を作成し、8年度からの運用を見据えている。
 団員確保対策を巡っては、委員から「入団奨励金制度というのを設けるのはいかがか」との提案があり、及川消防長が「今後可能かどうか内部で検討したい」と回答した。
 このほか、「女性消防団員も増やしていく必要がある」「市内事業所に消防団の意義を伝え、理解を深めてもらうようにすべき」などとの声が聞かれた。
 消防団の再編に関しては「地域防災力を維持、強化していくためには時代の変化に対応した再編も一つの選択肢として考えなければならない」との意見が上がり、再編のメリット、デメリットを確認した。
 及川消防長は「再編は人員や拠点を集約することで効率的な運営が可能になり、団員負担の軽減などが期待される。ただ統合に伴い、地域から拠点が減少することで不安に思う市民もいることが考えられ、一朝一夕に実施できるものではない。再編する場合には丁寧に説明しながら理解を得たうえで進めることが大切だ」と述べた。