農業での活用策を理解 ドローン操縦体験会 県が初めて企画(動画、別写真あり)
令和7年8月24日付 1面

県大船渡農業改良普及センターによる「ドローン操縦体験会」は23日、大船渡市日頃市町内で開かれた。初企画の取り組みで、参加者らはドローンによる水稲への薬剤散布を見学し、実際にミニドローンの操縦を体験。ドローンの利便性などを身近に感じながら、農業における活用策に理解を深めた。
体験会は、農業従事者の減少や高齢化による労働力不足が叫ばれ、農作業の省力化、軽労化などが求められている中、水稲に被害を及ぼす斑点米カメムシなどの防除を担うドローンパイロットを確保し、気仙地方の水稲防除体制の強化を図ろうと企画。県沿岸広域振興局の令和7年度地域経営推進費(県事業)を活用した。
この日は気仙3市町から10人が参加。はじめに同町の平山地域を訪ね、中山間直接支払協定集落平山(藤原重信代表)による水稲の害虫防除を見学した。
同団体は令和3年から、宮城県気仙沼市のマルタク㈱に委託してドローンによる病害虫防除を行っている。この日は今年3回目の作業となり、広さ約30㌃ある水田での薬剤散布は5分程度で終了した。
藤原代表は「ドローンの導入により、作業が楽になった。時間や手間もあまりかからない」と、参加者らにその利便性を示した。同センターでは、薬剤・肥料の散布に加え、畑や作物生育の情報収集などにドローンが活用されていることを紹介した。
その後、旧日頃市中学校体育館では、ドローンの基礎講座と操縦体験を実施。一般社団法人東日本ドローン協会岩手支部理事の佐藤健さんが講師を務めた。
佐藤さんは、ドローンの種類をはじめ、重さ100㌘を超える機体は航空法の対象となり、機体などの登録が必要であることなどを解説。▽目で見える範囲で飛ばす▽夜は飛ばさない▽人や建物から30㌢以上離す──といった「飛行ルールの7原則」などについて説明し、「大事なのはプライバシーに配慮するなど、マナーを守ること」と呼びかけた。
参加者らは、重さ約80㌘のドローン「Tello」を使って操縦を体験。スマートフォンなどを手にドローンを飛ばし、その魅力や操縦する面白さを感じていた。
住田町上有住から参加した藤井琉唯さん(21)は「ドローンを操縦したのは初めて。前後の操作を理解するのに時間がかかったが、飛んだときは衝撃を受けた。機会があれば、また触れてみたい」と話していた。
同センター産地育成課の畠山隆幸上席農業普及員は「世代を超えて熱心に勉強する方々が集まり、農業でのドローン技術に期待や希望を持っているように思えた。今回の体験会が、ドローンオペレーターの育成に向けた流れづくりになれば」と期待を寄せていた。