各地で前年超えの人出 気仙の夏決算 猛暑下も祭り、観光地に活気

▲ 昨年を上回る1300人規模の道中踊りが行われた三陸・大船渡夏まつり=大船渡市(8月2日)

 猛暑と少雨が続いた、令和7年の気仙の夏。7月下旬から8月中旬にかけては、台風9号の北上や津波警報発令などがあったものの、週末は比較的晴天が続き、ほぼ計画通りに各種イベントが行われたほか、海水浴場もにぎわいを見せた。伝統の祭りイベントだけでなく、新たな試みや大船渡市大規模林野火災の早期復興への願いを込めた催事も目立ち、活気をもたらした。(佐藤 壮、高橋 信、清水辰彦)

 

復活や初開催のイベント目立つ/大船渡

 

 大船渡市では8月1、2の両日、大船渡町の茶屋前岸壁などで三陸・大船渡夏まつりが開かれた。メインの2日は好天に恵まれ、昨年の1・5倍の1300人超が参加した道中踊りや花火大会が繰り広げられた。まつり実行委は来場者数を公表しないが「昨年以上の人出」と総括する。
 大船渡駅前では13日、大船渡青年会議所による「ウオータースプラッシュ」があり、夢海公園が会場だった昨年を大きく上回る約1800人が来場。巨大スライダーなどが人気を集めた。
 16日には、同公園で初の「髙田真希マルシェ」が開催された。キャッセンエリアでは、昨年12月に相次いで開店した飲食・物販店にも多くの観光客が訪れ、にぎわいが生まれた。
 盛町灯ろう七夕まつりは6日は降雨に見舞われたが、7日は9台の山車運行で魅了。20日は盛川灯ろう流しや花火の打ち上げに加え、サン・リア屋上では盛青年商工会の「グルメまつり」が好評を博した。
 三陸町綾里では14日、コロナ禍や大規模林野火災を乗り越え、6年ぶりに「綾里夏祭り」が開催された。約2000人が訪れた。
 同町の吉浜、越喜来浪板、綾里の各海水浴場は7月12日~8月17日に開設された。3海水浴場がそろったのは、東日本大震災以降では初。吉浜は1525人で、震災以降で唯一開設された平成30年比で735人(93%)増。越喜来は3384人で前年比1151人(52%)、綾里は1320人で同345人(35%)それぞれ伸びた。
 総計では6229人で同3021人(94%)増で、3連休最終日の7月21日には計約600人が来場した。市観光物産協会では、土、日、祝日に比較的天気が崩れなかったことなどを増加の要因に挙げる。
 予定通り各種催事が行われた一方で、8月3日に予定されていた大型客船「飛鳥Ⅲ」の大船渡初入港は、台風9号接近の影響で中止となった。

 

高田松原海水浴場は19・2%増/陸前高田

 

客数が前年より2643人増えた高田松原海水浴場(7月19日)

 陸前高田市では7月19日~8月17日、高田松原と広田の2海水浴場が開設された。
 両海水浴場の開設日数はともに28日。運営した市観光物産協会によると、客数は高田松原海水浴場(高田松原ウオーターパーク除く)が1万6434人で、前年比2643人(19・2%)増。1日当たりの人数は平均で586・9人と、同156人(13・2%)増となった。天候に恵まれ、客足が伸びた。
 同海水浴場では期間中、陸前高田ビーチバレーボール大会(同実行委主催)やフレスコボールの公式戦「リクゼンタカタカップ」(日本フレスコボール協会主催)といったビーチスポーツ大会が開催された。
 一方、広田海水浴場の客数は9317人で、前年比3688人(65・5%)増となった。
 7月19、20日は、高田町のまちなか広場周辺で「お天王さま夏祭り」(陸前高田商工会青年部主催)が開かれ、19日にはこれまで単独開催されていた夏の恒例行事「チャオチャオ陸前高田道中おどり」を同夏祭りの企画の一つとして実施。事前申し込み制の第1部には昨年より1団体約30人多い13団体約290人が参加し、群舞を繰り広げた。
 8月7日には高田町のうごく七夕、気仙町今泉地区のけんか七夕、11日には矢作町下矢作地区の下矢作灯篭七夕が開催され、地域に活気を呼び込んだ。
 気仙町の道の駅高田松原の9日~17日の来店者数は5万5300人。前年同期と比べて1万5600人増と大幅に増えた。1日当たりの最多は15日の7300人で、前年の6800人から500人増となった。

 

夏まつりにぎわう 滝観洞も活況に/住田

 

4000人以上が訪れた住田町夏まつり(7月26日)

 住田町では7月26日、農林会館前を会場に夏まつりが開かれた。世田米保育園児の踊りや住田中の生徒らによる「住中ソーラン」披露、郷土芸能、町民手踊りなどが繰り広げられた。町制70周年を記念し、同町出身の歌手・早瀬ひとみさんのステージも催され、町内を中心に4000人以上が来場して盛夏の催しを満喫した。
 例年、夏場に書き入れ時を迎え、行楽客らでにぎわいを見せる上有住の滝観洞。滝観洞観光センターの指定管理を担う住田観光開発㈱によると、昨年4月の同センターリニューアルオープン以降、積極的にPRを行っている成果もあって入洞状況は好調のまま推移している。
 今月9日~17日の期間をみると、前年同期比58%増の4860人が入洞しており、東日本大震災以降では最多となった昨年を大幅に上回った。長いパイプを流れてくるそばを味わう名物の「滝流しそば」も人気を集め、盆期間は連日180食ほどが提供される盛況ぶりとなった。一方で、小雨による水不足によって、滝流しそばの営業体制や、洞内最奥部にある滝の流量低下などの影響も懸念されている。
 同社が運営し、世田米の国道397号沿いに構える道の駅・種山ヶ原ぽらんでは、9日~17日で同14%増の計4869人が来訪。昨年は台風の直撃による影響もあったが今年は天候にも恵まれ、帰省客らでにぎわいをみせた。