地域活性化のスタートに 日本遺産のGOLD浪漫 市が追加認定式典(別写真あり)

▲ さらなる地域活性化や構成市町の連携を誓い合った式典

 大船渡市の日本遺産「みちのくGOLD浪漫」追加認定を記念した同市主催の式典が25日、盛町の市民文化会館マルチスペースで開かれた。民間主体の市民運動がけん引役となった認定を祝うとともに、さらなる地域活性化へのスタートとする思いを確かめ合った。
 追加認定の意義を広く市民らと共有し、地域全体の機運醸成を図り、今後の地域活性化につなげようと企画。日本遺産「みちのくGOLD浪漫」の構成市町でつくる同推進協議会が協力し、市内外から約160人が出席した。
 第1部は大船渡東高校太鼓部の演奏で始まり、追加認定の喜びを込めた迫力ある響きで魅了。認定までの経過や取り組みの報告に続き、同推進協議会長を務める宮城県涌谷町の遠藤釈雄町長が「大船渡市の追加は、構成市町一同、大変心強いものと受け止めている。地域活性化の活動のスタートとなるよう、皆さんの力を借りながら盛り立てていきたい」と述べ、渕上清大船渡市長に認定証を交付した。
 渕上市長もあいさつに立ち、「大船渡市を『日本遺産の市』にする市民運動実行委員会」(甘竹勝郎会長、「『日本遺産の大船渡市』市民運動推進協議会」に改称)の精力的な活動をたたえた。そのうえで「大船渡の魅力を次世代に伝え、まちの活力につなげるためには、自由な発想で進める力が必要。価値を生かし、魅力ある地域づくりを進めよう」と述べた。
 同組織に対し、市長名で感謝状を贈呈。来賓祝辞に続いて関係者によるテープカットも行われ、会場全体で大船渡の金に関する歴史文化の発信や、地域資源の積極的な利活用を誓い合った。
 第2部は日本遺産を活用した地域活性化や観光振興をテーマに、文化庁の本岡寛子参事官補佐による講演が行われた。
 「みちのくGOLD浪漫」は令和元年5月に日本遺産に認定され、これまでの構成市町は、宮城県涌谷町、気仙沼市、南三陸町、石巻市、岩手県平泉町、陸前高田市の6市町。国内屈指の産金地帯に築かれた独自の文化や信仰・産業の魅力を盛り込んだ六つのストーリーに細分されている。
 大船渡市内では昨年5月以降、民間団体を主とした実行委が核となった市民意識醸成の動きを踏まえ、市では認定に向けた取り組みを進めてきた。今年3月に「みちのくGOLD浪漫」推進協議会を通じて変更申請が文化庁に提出され、陸前高田市の県指定有形文化財「旧吉田家住宅主屋」の構成文化財追加も含めて認められた。
 大船渡市の構成文化財は、金鉱脈生成の地質史を物語る「今出山」と、海底火山の活動が活発化したことを物語る痕跡が各所に見られる「碁石海岸」。明治~昭和にかけての大規模鉱山開発を伝える「今出山金山跡」や「大なる入り江サン・アンドレス─大船渡湾の風景─」も構成文化財に組み込まれている。