復興と地域振興の今後探る 気仙の4人が知事と懇談 いわて幸せ作戦会議(別写真あり)

▲ 気仙で復興・地域振興に携わる4人が達増知事と意見を交換

 県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in住田」は27日、住田町世田米の同町役場町民ホールで開かれた。「それぞれの挑戦者たちが描く気仙の未来」をテーマに、気仙で観光や移住、1次産業の振興に従事する4人が出席。それぞれの活動や地域課題への挑戦などを紹介しながら達増拓也知事と意見を交わし、東日本大震災、大船渡市大規模林野火災からのより良い復興、地域振興の今後を探った。

 同会議は、県内のさまざまな分野で活動する人々から生の声を聞き、県政に反映させようと各地で開催。今回は、「復興・ふるさと振興」を主要テーマに掲げ、気仙で三陸のより良い復興の実現に向けて各分野で取り組む人々の声を聞く機会とした。
 出席したのは、大船渡市の一般社団法人大船渡地域戦略事務局長・中村純代さん(54)と㈱海山畑代表取締役・阿部正幸さん(42)、陸前高田市の地域おこし協力隊員で特定非営利活動法人高田暮舎移住コンシェルジュ・石田裕夏さん(38)、住田町のしもありすマンふぁーむ代表・平林慧遠さん(39)。県からは達増知事、政策企画部の小野博部長、沿岸広域振興局の沖野智章副局長が臨み、千葉盛県議も同席した。
 達増知事は、「復興の経験の中から新しい地域振興が生まれている。主体的に挑戦し、大きな課題を乗り越えようと発信している気仙地区の皆さんから話を聞き、この地域を確かなものにし、日本全国が希望を持てる一歩にしたい」とあいさつ。意見交換に移った。
 震災ボランティアで訪れた大船渡市に移住した中村さんは、大船渡地域戦略でみちのく潮風トレイルを活用した観光ツアーの企画・運営などに携わる。活動紹介では気仙のさまざまな魅力に触れ、「潮風トレイルは自然、食、人の温かさと全てが詰まった観光コンテンツ。林野火災で被災したトレイルルートや、地域の復興のために何ができるかを考えていきたい」と語った。
 石田さんは、令和5年に家族で京都府から陸前高田市に移り住み、高田暮舎では移住・定住に関する情報発信や移住者らのフォローなどを担っている。「もともと高田に住む人たちとつながりをつくり、楽しく暮らしていけるまちを目指したい」と将来を描き、「陸前高田だけで完結せず、気仙全域で移住・定住の受け皿をつくっていくことが大切」と提言した。
 阿部さんは林野火災発生後、「綾里ワカメ大作戦」としてボランティア活動を行い、被災した漁業者の支援や関係人口の創出を図った。「ワカメ大作戦は、外の人が地域の力になると証明した。漁師にとっても外の人の力が大事だと意識が変わり、参加者は自身の成長を感じることができ、双方に学びがあった」と振り返り、今後につなげていく決意を示した。
 住田町下有住で農林業に取り組む平林さんはマスクを着用し、「しもありすマン」に変身して取り組みを紹介。地域おこし協力隊を務めていた当時、遊休農地の利活用を探る中で地域の農業者らがサポートしてくれた姿から、「ヒーローは下有住の方々」と語り、林業に対して「自分ごととしていろいろな事業を通じて学び、継承していきたい」と担い手育成にも意欲を見せた。
 達増知事は一人一人の発言にコメントを寄せ、最後に「地域の未来はそこに住む人の未来。災害や経済的な不調もあるが、平時の地域を支える仕事、教育、福祉、行政サービスを着実に進めていきたい」と所感を述べた。
 出席者からの意見は庁内で共有し、今後の県政に生かしていく。