「減少」「悪化」回答目立つ 大船渡商議所会員事業所対象のアンケート調査 物価高騰下 売り上げ・受注不安浮き彫り

 大船渡市と大船渡商工会議所が7月に実施した同商議所会員事業所対象のアンケート調査で、昨年6月との売り上げ比較で「減少した」と回答した割合が55・2%に上った。採算面は54・9%、業界の状況でも64・3%がそれぞれ「悪化」と回答。物価高騰に伴う価格転嫁が十分に進んでいない現状に加え、売り上げや受注に対する今後の不安が浮き彫りとなっており、エネルギー価格高騰への支援策を望む声も根強い。(佐藤 壮)


 この調査は、物価高騰等の影響が幅広い業種に及ぶ中、地域経済や中小企業の状況を把握し、適切な支援などにつなげようと実施。会議所の会員事業所から業種バランスを考慮し、600事業所を選定し、297件の回答があり、回収率は49・5%だった。
 今年6月における前年同月比の売り上げ、採算、資金繰り、業界の状況の各回答は別掲の通り。売り上げのうち「5%以上減」が17・5%、「10%以上減」が11・1%、「5%以上減」が8・4%、「20%以上減」が8・1%、「30%以上減」「50%以上減」が各9・1%となっている。「増加した」と回答したのは、21・6%だった。
 「50%以上減」と回答した業種別の割合は、宿泊業が28・6%で前回調査(今年4月~5月実施)の22・2%を上回った。建設業も19・7%で前回調査の14・6%から上昇。前回調査で回答がなかった農林漁業でも14・3%となるなど、落ち込みが顕著になっている。
 「増加した」と回答した割合は、運輸業が54・5%で最も高かった。次いで「その他の製造業」が39%、飲食業が35・7%だった。
 今回の調査から、景況感を示す業況判断指数を調査項目に新たに追加。「好転」は2%なのに対して「悪化」が64・3%となり、差し引きによる業況判断指数はマイナス62・3となった。市や商議所では今後も同じ質問を行うことで改善や悪化の動向を把握することにしている。
 物価高騰の質問で「影響を受けている」と答えたのは76・1%で、前回比5・4ポイント減。業種別では、食料品製造業、宿泊業、飲食業、農林漁業の各回答割合が100%だった。
 物価高騰などに伴うコスト増加分に対する価格転嫁では「全く転嫁できていない」が24・6%で、前回調査時から1ポイント減。「転嫁できたのは半分に満たない」は30・6%で、「半分以上は転嫁できている」は24・9%となった。
 物価高騰を含め、今後懸念される影響は複数回答も可とした。最も多かったのは「売り上げ・受注の停滞、不振」の74・4%で、特に卸売業、小売業、食料品製造業で高かった。「資金繰りの悪化」が49・5%、「原油・原材料等価格の上昇」は46・5%だった。
 今回の調査から「新しい取り組み(新事業・商品・サービス)」に関する質問も設けた。全体回答(複数回答可)では▽新規事業の予定はない42・1%▽必要性を感じるが実施していない33・7%▽すでに取り組んでいる18・2%▽試験的にサービス・商品を提供している7・4%──の順となった。業況判断指数と同様に、次回以降の推移が注目される。
 必要とされる支援策(同)では「エネルギー(燃料・電気・ガス)価格高騰に対する支援」が55・2%。「売り上げ減少事業者への補助金・給付金」も52・2%と高く、「原材料や資材高騰に対する支援」は41・8%、「賃金の引き上げに対する支援」は32%だった。
 大規模林野火災に関する質問では「影響はない」が58・2%。避難指示に伴う事業活動への影響による売り上げ減少を挙げたのは26・6%に上った。宿泊客・来店客のキャンセルは6・1%、休業による休職手当などの支給と、東日本大震災との二重被災がそれぞれ2・4%と続いた。
 事業活動の中断や売り上げ減少といった間接的な影響について、市は「個別の休業補償はなく、実施は困難」との考えを示す。今回のアンケート結果も参考にしながら、地域経済の回復につながる取り組みを検討することにしている。
 伊勢徳雄商工企業課長は「業種によっては戻りつつある動きもあるが、物価高騰の影響が依然として大きい。大規模林野火災からの回復にとらわれることなく、広く消費喚起策を考えていきたい」と話す。