本州トップ切りサンマ初水揚げ 市魚市場 第二十一三笠丸が28㌧ サイズは140㌘以上と大ぶり(動画、別写真あり)
令和7年8月30日付 1面

大船渡市魚市場で29日朝、本州トップを切って秋の味覚・サンマの初水揚げが行われた。同市の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有する「第二十一三笠丸」(畠山英樹漁労長、199㌧)が28㌧を水揚げ。初日の数量は、2隻で33㌧だった昨年と比べ、1隻あたりでは上回り、上々の滑り出しに。今年は予報の通り、140㌘を超える大ぶりな魚体が多く、作業を見守った水産関係者らは、遠い公海漁場で操業した乗組員らをねぎらいながら、昨年を上回る今後の豊漁に期待を込めた。(菅野弘大)
午前6時ごろ、海上に三笠丸の姿が見えると、市魚市場の南側岸壁に集まった多くの水産関係者らが手を振り、約3週間ぶりの帰港を歓迎した。
同船は、北海道から北東方向、大船渡から約1500㌔ほど離れた公海で、26日までに漁獲したサンマを積み、2昼夜かけて帰港。
水揚げ作業では、冷凍の箱入りを手渡しで揚げたあと、乗組員らが息を合わせて網ですくい、タンクに移した。〝初物〟のお目見えに、買い受け人や関係者らがこぞってのぞき込み、手に取って魚体や品質を確かめた。
今年のサンマは魚体組成が良好で、1匹140㌘以上のサイズが大部分を占めた。中には200㌘の〝超大物〟も見られ、買い受け人らは笑顔を浮かべ「これだけ大きなサンマはいつぶりか」「型も良く、身も厚い」との声も聞かれた。入札の結果、タンク入りは1㌔1250~830円で、昨年より170~250円ほど安値となった。1箱約8㌔(70~80匹入り)の冷凍は1600円で取引された。
畠山漁労長(56)は「大船渡にサンマを持ってこられて良かった。浮き沈みはあるが魚は見えており、型も脂のりも良い。この状況がいつまで続くかは分からないが、何とかもっと取れれば」と見据えた。
水揚げされたサンマは、赤崎町・下蛸ノ浦漁港で31日(日)午前8時から行われる「初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭」(未来蛸ノ浦実行委員会主催)で、8000匹を炭火焼きで無償提供するほか、生鮮販売も予定している。
水揚げを見守った鎌田社長は「今年は餌が良く、サンマが太って大きくなっている。初さんま祭に間に合う水揚げになって良かった」と話していた。
全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は昨年から、サンマ漁の解禁日を公海に限定して8月10日に統一。今月8日に出船式で大船渡を出港した三笠丸船団6隻は、解禁日から公海での操業を続け、北海道根室市の花咲港などで水揚げを行っていた。
国立研究開発法人水産研究・教育機構水産資源研究所が発表した、今年8~12月における道東~三陸海域などでのサンマ長期漁海況予報では、漁場は日本近海から離れた公海が中心で、来遊量は昨年に続き低水準の見通しだが、平均体重は昨年を上回る110~120㌘と、近年では比較的大きめの魚体組成に。北海道では今月15日から花咲港や厚岸港で水揚げが盛んに行われている。
全さんまによると、昨年の全国総水揚げ数量は、前年比58%増の3万8695㌧、金額は同78%増の179億8163万円だった。
大船渡市魚市場でのさんま棒受網漁の水揚げは、数量が同46%増の5650㌧、金額は同50%増の27億8457万円。地元漁船や取り扱う水産加工業者の強みも生かし、数量は10年連続、金額は13年連続で本州トップを維持する中、今季の漁況の行方に注目が集まる。大船渡でのサンマ水揚げは、11月末から12月初旬まで行われる見込み。