郷土の「食」を学ぶ 町と連携協定結ぶ津田塾大 料理ワークショップ開催
令和7年8月31日付 7面
住田町と連携協力に関する包括協定を結ぶ津田塾大学(東京都、高橋裕子学長)の学生が、28日から住田町を訪れている。30日には、学生が実現を目指す同町での1泊2日ツアー開催に向けた取り組みの一環として、地元料理の体験会を世田米の保健福祉センターで開いた。地元民から手ほどきを受けながら郷土料理の「なべやき」や「ひっつみ汁」の調理を体験。地域の食文化へと理解を深め、ツアーでの食体験提供に向けた参考とした。(清水辰彦)
津田塾大は、東日本大震災被災地における医療・福祉・介護連携分野の支援をきっかけに、同町との関わりを強めてきた。こうしたつながりを地域活性化や大学教育・研究推進に反映させようと、平成30年2月に同町と包括連携協定を締結。以降、相互の資源やネットワークなどを活用し、地域社会の課題解決や人材育成を図っていこうと、学生が同町を訪問して交流・体験を行っている。
令和4年度からは、自治体と地域住民が取り組む地方創生を学び、今後の地域社会について考えるプログラムの一環として、学生たちが住田の地域課題解決に向けて活動している。解決へのアイデアを町に提案し、町の協力を受けながら実現に向けて取り組みを展開しており、これまでに、地元の子ども目線で住田の魅力を発信する「住みっ子ネイチャーマップ」を製作するなどしてきた。
今回は、28日~9月1日(月)の滞在日程で総合政策学部の1、2、3年生合わせて10人が来町。30日は「すみたの台所ワークショップ」と銘打った料理体験会を開いた。
この体験会は、同町を舞台とする1泊2日ツアー開催に向けた試みの一環。昨年度の来町時に行ったフィールドワークで、空き家の増加問題に着目した学生が考案したもので、町産食材を活用した料理体験、空き家への宿泊を想定している。
ワークショップは、料理体験の内容充実を図ろうとの狙い。町や町食生活改善推進協議会(遠藤美喜子会長)、津田塾大と関わりのある町民らが協力し、同協議会メンバーのアドバイスを受けながら学生が「なべやき」と「ひっつみ汁」に挑戦した。
なべやき調理では、県から「食の匠」に認定されている遠藤会長から火加減や生地の混ぜ方などアドバイスを受け、「ひっつみ汁」では、小麦粉に水を加えてこねた具材を手分けして手でちぎるなどし、出来上がった料理を全員で味わい、交流も深めた。
ツアー発案者の一人である村上鈴乃さん(3年)は「みんなで楽しみながらできた。今回のワークショップを踏まえて改善したプロジェクトを提案し実現できたら」と話していた。
体験会に先立ち、28日は世田米商店街などのまち歩きを行い、29日は県立住田高校を訪問し、同校の探求学習に参加したり、放課後に生徒と交流した。
31日は上有住の滝観洞や陸前高田市の東日本大震災津波伝承館を見学する予定。





