景観楽しみペダルこぐ 200人が参加 気仙両市でツール・ド・三陸 

▲ 三本指を横にしたツール・ド・三陸のポーズをとって笑顔の参加者=陸前高田

 第14回ツール・ド・三陸2025(実行委主催)は8月31日、陸前高田、大船渡の両市をサイクリングコースに開かれた。県内外から約200人の愛好者が参加。三陸の海や山の景観を楽しみながら、ペダルをこいだ。(高橋 信)

 

 コースは「健脚A/大船渡・広田」(距離69・1㌔、獲得標高1050㍍)、「健脚B/碁石・広田」(距離47・3㌔、獲得標高809㍍)、「ファミリーコース」(距離22・8㌔、獲得標高249㍍)の三つ。
 開会式は、発着地の高田町の商業施設「アバッセたかた」駐車場で行われ、実行委の吉田正紀委員長は「人口減が進むまちで、交流人口の増加が期待できるこうしたイベントは大切。楽しくライドしよう」と呼びかけた。
 この日の気仙は雲が広がり、気温が猛暑日並みに上がった前日の暑さが少し和らいだ。参加者は自然豊かな景色や東日本大震災からの復興のシンボル「奇跡の一本松」などを眺めながら、気持ちよくコースを駆けた。
 各地に設けたエイドステーションでは、甘酒専門店「AMAZAKE STAND(アマザケ・スタンド)」陸前高田製造所の甘酒、工房めぐ海の手作りおやき、蒸しガキ、銘菓などが振る舞われた。広田町の民宿志田では今年も多くの大漁旗が飾られ、参加者が海のまちの雰囲気に浸った。
 今年は、地元内外の高校生や大学生らでつくるツール・ド・三陸学生部が発足され、SNSでの情報発信や大会運営補助に当たった。
 同部メンバーで、岩手大理工学部の伊藤康介さん(3年)は「陸前高田は市外の人を温かく迎え入れてくれる地域性がある。初めてツール・ド・三陸に携わることができて良かった」と話した。
 健脚Aを完走した仙台市の会社員・尾形幸也さん(60)は「還暦祝いとして初めて参加した。景色が素晴らしく、楽しかった。また参加したい」と汗を拭った。
 ツール・ド・三陸は記録を競うのではなく、気仙が誇る景勝地や沿道の風景、食べ物などを楽しむ「ファンライド」のイベントとして、震災翌年の平成24年に始まった。
 今年は大会前のプレイベントを充実。アバッセたかたパブリックスペースでは、昭和61年から平成17年まで、気仙で開催されていた自転車ロードレースの足跡を伝えるパネル展を実施し、8月30日にはBMXやストライダーの無料体験試乗会、防災トークショーなどを行った。大会公式Tシャツを販売し、益金の一部を大規模林野火災で被災した大船渡市に寄付することとしている。