秋の味覚を存分に 初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭 県内外から1万5000人来場

▲ 会場では良型の初物サンマ約8000匹を炭火焼きで提供

 「第13回大船渡市初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭」(未来蛸ノ浦実行委員会主催)は8月31日、同市赤崎町の下蛸ノ浦漁港広場で開かれた。同29日に本州トップを切って大船渡市魚市場に水揚げされた初物のサンマ約8000匹を炭火焼きで無料提供したほか、鮮サンマも販売。多彩な海の幸の販売や歌謡ステージなども行われ、県内外からの来場者が旬の味覚を堪能しながら、〝水産のまち〟ならではの催しを満喫した。(清水辰彦)


 実行委は、地元の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)や赤崎町内有志で構成。海の幸をPRし、震災復興支援への感謝を発信しようと平成25年から開催し、「日本一早いサンマ祭り」として定着している。
 今年も県内外から多くの人が押し寄せ、漁港広場につながる町内の県道は早朝から車が列をなした。29日に水揚げされた初物は140㌘を超える大ぶりな魚体が多く、同祭にも良型のサンマを求め、昨年を2000人ほど上回る約1万5000人が来場した。
 多くの大漁旗が掲げられた中、開会式前には前田子ども鹿踊り、永浜鹿踊り、チンドン寺町一座が登場し、会場を盛り上げた。その後は、さすけ会による踊りや演歌歌手らの歌謡ステージが繰り広げられた。
 この日、無料提供のサンマ炭火焼きは8000匹を用意。市観光物産協会が認定している「さんま焼き師」らが暑さと炭火の熱に負けずに焼き台の前に立ち続け、焼きたてのサンマを次々と提供した。
 平成28年に行われた第1回さんま焼き師の認定試験に参加し、認定更新を続けている飯島由里子さん(62)=埼玉県朝霞市=は昨年に続いて協力。東日本大震災後、埼玉県和光市やその周辺の住民有志によって結成された「渡和の会」の会員として、震災ボランティアで大船渡を訪れ、その後もつながりが続いている。「今年のサンマは脂がのっていておいしそう。皆さんが喜んで食べてくれるのがうれしい。今後も細く長く大船渡とつながっていけたら」と話し、サンマ焼きに汗を流した。
 鮮サンマは、サイズごとに分けて1箱1000円で販売。1000人以上が列をつくる人気ぶりだった。
 会場ではカラオケ大会も開かれ、気仙両市や県内陸部、埼玉県、大阪府などからの参加者が自慢の歌声を披露した。カラオケ大会後のチャリティー歌謡ショーでは、宮路オサムさんや岡千秋さん、美月優さん、真木ことみさんら多くの歌手が登場。会場に設けられた有料席は満席となり、聴衆が心ゆくまでショーを楽しんだ。
 このほか、ホタテやサンマのすり身汁などの販売コーナーにも絶えず長蛇の列ができるなど、〝浜〟が活気にあふれた。
 矢巾町から家族で訪れた村上蒼翔さん(8)は「今年とれたサンマを食べるのはきょうが初めて。焼きたてはすごくおいしかった。また来年も食べに来たい」と、笑顔でサンマをほおばっていた。