電気柵の正しい利用学ぶ 大船渡地方農振協 陸前高田で獣害対策指導力向上研修会(別写真あり)

▲ 中森さん(右端)から電気柵のチェック方法などを学んだ研修会

 大船渡地方農業振興協議会(会長・神田謙一住田町長)による「獣害対策指導力向上研修会」は1日、陸前高田市米崎町内で開かれた。ニホンジカやツキノワグマなどによる農作物への被害が深刻化する中、参加者らは対策として有効な電気柵の正しい利用について学び、生産者らに対する指導の参考とした。(三浦佳恵)


 研修会は、同協議会を構成する県や気仙3市町、大船渡市農業協同組合、県立大船渡東高校などの関係者を対象に、電気柵に対する理解を深め、生産者への対応能力向上を図ろうと企画。この日は約30人が参加し、県農林水産部農業普及技術課の技術主幹兼農業革新支援担当課長・中森忠義さんが講師を務めた。
 前半は陸前高田市総合営農指導センターで座学が行われ、農林水産省の野生鳥獣被害防止対策アドバイザーでもある中森さんが「野生獣被害対策の基本および電気柵の仕組みについて」と題して講話。野生動物による県内の農作物被害状況などを示した。
 この中では、「野生動物の駆除のみではうまくいかない。『狩るより刈ること』が大切」と、集落内や圃場周辺で刈り払いを行い、動物が身を隠せない、見通しの良い状態を維持するよう強調。爆音機、識別テープ、臭いや味による忌避資材などは、一時的な効果にとどまるとした。
 そのうえで、「電気柵は囲い柵の中で唯一、野生動物に対して痛みや電気ショックといった攻撃を与えられる」として、冬季も劣化しないワイヤや支柱を用いた恒久電気柵の特徴などを紹介。効果的な電気柵のポイントには、▽ワイヤは動物が圃場に入れない正しい高さにする▽ピンとした状態になるようにワイヤを張る▽アースをしっかりと設置する──などを示した。
 後半は、同町内で電気柵が使われている圃場に移動し、参加者らが協議会で用意したデジタルボルトメーカーを使って電圧の測定法などを実践。中森さんは、電気を流すためのパワーユニットやアースが正常に動いているかの確認方法も指導した。
 参加者らは獣害による被害拡大を防ぐため、電気柵の有効性に理解を深め、今後の生産者らへの指導などに役立てていこうと誓っていた。