9月最初のサンマ水揚げ 第十一三笠丸が公海漁獲の90㌧ サイズは140㌘以上の大型中心 市魚市場(別写真あり)

▲ 青空の下で大船渡市魚市場に水揚げされるサンマ

 大船渡市魚市場で2日、9月に入って初となるサンマの水揚げが行われた。同市の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有する第十一三笠丸(松谷裕漁労長、199㌧)が90㌧を水揚げ。サイズは140㌘以上の大型が中心で、好天の下で水揚げや運搬作業の慌ただしさが広がった。
 同船は、北海道から北東に離れた公海漁場で操業し、8月30日午後6時から翌31日午前2時までに漁獲した90㌧を積んで大船渡に入港。この日は青空が広がり、タンクに移された銀色の魚体が陽光を浴びて光り輝いた。
 サイズは1匹140~160㌘の大型が中心。入札の結果、1㌔当たり500~331円で取引され、最高値は昨年同期と比べて200円ほど安くなった。1箱30~40匹の発泡スチロール入りは6000~3000円の値が付いた。
 先月8日に大船渡を出港した6隻の三笠丸は、大船渡から2昼夜以上かかる公海での操業を続けている。第十一三笠丸も解禁日の10日から漁を始め、北海道の港で3度水揚げを行い、この日は漁場から約56時間かけて大船渡に帰港した。
 松谷漁労長(65)は「ここ3、4年は小さいものが多かったが、今年のサンマは餌が良いのか、大きくて型が良い。脂ものっていて、とてもおいしい」と太鼓判。「群れが大きく、このままの漁況が続いていけば。〝豊漁貧乏〟にならないように願いつつ、皆さんに大きくておいしいサンマを届けたい」と話した。
 市魚市場では、先月29日に第二十一三笠丸が本州トップを切って28㌧を水揚げ。数年ぶりに大型サイズが中心となり、「さんまのまち」を掲げる大船渡らしい活気が広がった。
 運営する大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「漁場は公海だが、遠いなりに状況は恵まれているのでは。潤沢に魚が来れば、陸の仕事のサイクルも回っていく。今後の漁況がどのように変わっていくかは誰にも分からないが、型や量がこのまま持続してくれることを願う」と期待を込めた。
 国立研究開発法人水産研究・教育機構水産資源研究所が発表した、今年8~12月における道東~三陸海域などでのサンマ長期漁海況予報では、来遊量は依然として低水準の見通しだが、平均体重は昨年を上回る予報となっており、関係者からも期待の声が上がる。
 市魚市場における昨年のさんま棒受網漁の水揚げは、数量が前年比46%増の5650㌧、金額は同50%増の27億8457万円といずれも増加し、数量は10年連続、金額は13年連続で本州トップを維持。近年は低水準ながら、漁況も上向きつつある中、今後の実績が注目される。