FIT計画認定「失効」 三陸町吉浜地区市有地の太陽光発電事業 事業者に対し経済産業省が通知
令和7年9月3日付 1面
大船渡市三陸町吉浜の大窪山を中心とした市有地で民間事業者が計画している大規模太陽光発電事業について、経済産業省から事業者に対し、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の事業計画認定が「失効した」との内容で通知されたことが、2日までに分かった。東海新報社の取材に対し、計画を進める自然電力が認めた。事業計画への影響が注視される。(佐藤 壮)
この太陽光発電事業は、全国各地で同様の事業を展開する自然電力㈱=本社・福岡市=が計画。事業者は、同社などが設立した岩手三陸太陽光発電合同会社となる。開発や運営、建設、保守管理などは自然電力と同社グループが担うとしている。
自然電力によると、通知は今年8月上旬に受領。設備認定に求められる林地開発などの手続きで不備があったという認識は「ない」とする。今後の事業の見通しに関しては「現在、関係省庁に詳細を確認しており、そのうえで検討・判断となる」としている。
市でも、失効に関し、事業者側から連絡を受けたという。現在は事業者に対し、詳細な説明を求めている。
今回の失効によって、事業を当初計画通り進めるかどうかに加え、再認定などによって推進した場合でも、近年は固定価格買取額の下落が続く中、整備や運営面への影響が注視される。
当初、吉浜地区・荒金山の市有地内に変電施設および太陽光パネルを設置する計画だった。その後、自然環境などを懸念する住民意見などを踏まえて見直し、最終的には太陽光パネルを大窪山のみに設置する計画に変更し、令和2年に認定申請を出していた。
同一地番内に「大船渡第一」「大船渡第二」の各発電設備を設ける内容だったのに対し、現ルールでは同じ地番内にある状態は認められていないことから、翌年に分筆などを経て再申請。令和4年に大船渡市内で開催された住民説明会で変更の認定を受けたことを報告していた。
今年2月に開催された自然電力主催の説明会によると、事業地は「元山」を中心とした約98㌶で、このうち工作物を設置するのは27㌶。太陽光パネルは大窪山牧場跡地に集約する形で約7万6600枚を計画している。重要な動植物の生息・生育域である湿地群落を極力回避し、下草が生えやすいようにアレイ(パネルを設置するための架台)の間隔を確保する。
事業概要説明の中で地域経済、財政などへの貢献も挙げ「20年間で約40億円の経済効果を見込む。固定資産税が9・5億円、市への賃料が2・3億円、工事が20億円で、維持管理で10億円、地域貢献は1億円をみている」としていた。