世代超えてアート制作 三陸ブルーラインプロジェクト 10月からの防潮堤展示へ始動(別写真あり)
令和7年9月4日付 7面

大船渡市の一般社団法人三陸まちづくりART(前川一枝代表理事)による「三陸ブルーラインプロジェクト」は本年度も、地域住民らとともに制作したアート作品を大船渡町内の防潮堤に長期展示する。今年は、釜石市で開催される三陸国際芸術祭や、陸前高田市で開催される国際共同制作舞台の舞台美術にも活用。各地で10月からの展示に向けたワークショップが行われ、世代を超えた交流の輪が広がっている。(佐藤 壮)
舞台作品にも活用へ
ワークショップは2日、盛町の地域密着型介護老人福祉施設・蔵ハウス大船渡で開催。同施設や併設するグループホーム「さくら亭」を利用する高齢者ら約40人に加え、盛こども園の年長児15人が参加した。
京都府在住のアーティストで、空間演出などを担当する井上信太さん(57)らとともに、展示では竜の「うろこ」となる作品を制作。廃棄物からの再生プラスチック板の上に、青色を中心としたさまざまな形のタイルを敷き詰めていった。
高齢者のそばに、ひ孫世代にあたる園児が座り、井上さんは「将棋や囲碁を指すように、子どもとおじいちゃん、おばあちゃんが一つずつタイルを置いて」などとアドバイス。子どもたちがタイルを置くと、高齢者が、笑顔で頭をなでる光景も見られた。
出来上がった「うろこ」は、園児らの個性が反映され、一枚一枚模様が異なる。青色だけでなく、アクセントとして赤色や黄色のタイルも添えた作品もあり、園児らが見比べる時間も設けられた。
参加した年長児の吉田澪永ちゃんは「楽しかったし、よくできたと思う。真ん中に、いろいろな形のタイルを置くようにした。見に行くのが楽しみ」と話していた。
三陸まちづくりARTは、3年前から大船渡町内の防潮堤にタイルアートを飾る活動を展開。東日本大震災の教訓を未来につなげるとともに、被災者の心の復興を見据える。今年も「岩手県被災者の参画による心の復興事業補助事業(特別事業)」の採択を受け、県と共同で実施する。
今年は赤と青の竜をイメージした作品を、10月13日(月・祝)から大船渡町のサン・アンドレス公園に展示。昨年秋から防潮堤に貼っている作品も、来年まで延長展示されるという。
10月4日(土)と5日(日)には三陸国際芸術祭が開催される釜石市民ホールでも展示。さらに、同12日(日)には、陸前高田市民文化会館・奇跡の一本松ホールで開催される国際共同制作舞台『髪長姫』の舞台美術として一部が使用される。
展示に向けたワークショップは今月、三陸沿岸のこども園や福祉施設などで開催。7日(日)は盛町にある「みんなのしるし合同会社スタジオ」で午前10時~午後5時に予定し、誰でも参加できる。途中での入退場も可とし、広く来場を呼びかけている。
問い合わせは、同プロジェクト事業事務局(℡47・5123)へ。