高田・海洋システム科募集停止に反対の姿勢示す 高校再編計画当初案 広田湾漁協で県教委説明会
令和7年9月7日付 1面

県教育委員会による「第3期県立高等学校再編計画(当初案)」の出前説明会は5日、陸前高田市広田町の広田湾漁業協同組合本所で開かれた。同漁協(砂田光保組合長)の役員や職員、市の関係者らが出席し、県教委から地元・高田高の海洋システム科を令和10年度に募集停止とする提案理由などの説明を受けた。出席者らは少子化や専門教員の確保が難しい現状に理解を見せながらも、募集停止には反対する姿勢を示した。
この日は21人が出席。県教委事務局からは、学校教育室の西川信明高校改革課長ら3人が臨んだ。
はじめに、西川課長が第3期計画の概要と、高田・海洋システム科を10年度に募集停止し、水産の学びを宮古水産高に集約する考えを説明。募集停止の理由には、近年の入学者数が10人前後で推移していることと、全国的に水産を教える教員のなり手が少なく、久慈翔北を含む県内3水産高校の維持が困難であることを挙げた。
質疑、意見交換に移り、砂田組合長は「海洋システム科は今までの地域産業を支える役割を担っており、募集停止には組合長としては反対」と、存続を求める考えを明示した。
役員の一人は、「水産業の担い手不足が、各地域で大きな課題になっている。それを解消していくためには水産関係の高校を存続し、水産業を守っていくという立場になるのが、本来の県としての姿ではないか」と指摘。関係自治体などと連携し、教員確保のための優遇制度を検討するなど、県としても存続する姿勢を示すよう求めた。
ほかの出席者からは、「海洋システム科がなくなると、さらに担い手離れしてしまう。沿岸から漁業者が少なくなるのでは」と懸念する発言も。「1次産業に携わりたい子どもたちには、一番大切な高校。1クラスずつでもいいからあってほしい」「なんとかならないか」などと切実な声も聞かれた。
教員確保に関し、出席者からはオンラインによる遠隔授業の活用、定年後の再雇用、地域の水産事業者や研究者に講師を依頼するといった対策の提案もあった。
西川課長は遠隔授業について、「専門高校は実習があるので、どうしても遠隔教育だけでは難しいところもあり、集約する考えとなった。水産の先生さえいれば、残したい」と見解を述べた。
出席者からは、集約を想定した質問や意見も寄せられた。高田にある水産関係の備品や実習艇の利活用について、県教委は使えるものを宮古水産に移す意向を示した。
また、宮古に寮の設置を検討しているという県教委の考えに対し、「親の負担は、家から通うよりはるかに増える。集約するなら、家から通うくらいの手出しでいい補助が必要」といった提言もあった。
出前説明会は8日(月)、大船渡東高校の同窓会、PTA役員らを対象に予定している。