10年度に高田高海洋システム科募集停止の方針 市長「地域存続に関係する問題」 市議会定例会一般質問 県立高再編案巡り論戦

▲ 次期再編計画当初案で令和10年度に海洋システム科の募集停止の方針が盛り込まれている高田高

 陸前高田市議会9月定例会は9日、通告に基づく一般質問が行われ、2人の議員が県立高校の第3期再編計画(令和8~17年度)当初案を取り上げ、市当局と論戦を交わした。当初案には10年度に同市の高田高海洋システム科(定員40人)の募集を停止し、宮古市の宮古水産高に集約される方針が盛り込まれている。佐々木拓市長は募集停止、集約について「受け入れがたい」とし、「再編案は学校教育の問題だけではなく、地域の存続、県のあり方そのものに関係する重要な問題」と指摘した。(高橋 信、2面に一般質問の主なやりとり)


 県立高の次期再編計画を取り上げたのは、鵜浦昌也(創生会)、伊勢純(日本共産党)の両議員。当初案に対する市当局の受け止めとともに、地元関係者との話し合いの状況や学科存続に向けた取り組みなどを尋ねた。
 県教委は8月5日、次期再編計画の当初案を公表。気仙では10年度に高田の海洋システム科と大船渡東の食物文化科(定員40人)を募集停止とする方向性が示され、水産の学びの機能は宮古水産に集約し、高田は普通科(定員120人)のみとする計画となっている。
 佐々木市長は「水産業を担う人材の育成機関が実質的に本市からなくなることは、真の復興に向けて地域に根ざした水産業の人材育成に傾注し、さまざまな取り組みをしようとする本市の方向性を根本から揺るがすもの。高田高から海洋システム科がなくなることは受け入れがたい」と答弁した。
 また、市長は県教委が8月29日に市内で開いた当初案に関する地域検討会議の概要を紹介。「出席者から計画案への反対意見が多く出され、県教委にその旨がしっかりと伝わったと認識している」と述べた。
 そのうえで、「生徒数減を背景に県立高校やクラスの数を減らすこと、また志願者数をベースに学科の統廃合を進めるという県教委の強い姿勢は、従来から変わっていないように感じる。本県が広い面積を有する中で、県立高校が内陸や宮古などといった特定の地域を中心に集約される再編案は、学校教育の問題だけではなく、地域の存続、県のあり方そのものに関係する重要な問題であると考えている」と指摘。「気仙圏域の関係者はもちろん、県立高校の再編プロセスにおいて権限や発言権を有している人などとも相談しながら、この問題について対応していきたい」と述べた。
 鵜浦議員は再質問で、「専門学科を減らすよりも、普通科を再編するということを提言してもらいたいがどうか」と迫った。
 これに対し、佐々木市長は「県全体の生徒数が減っており、普通科を含めて再編すべきということは全く同感だ。普通科のあり方を含め、専門学科の存続を見据えてしっかりと県に要望していきたい」と同調した。
 伊勢議員は再質問で、住田高存続に向けた住田町の取り組みを取り上げ、「通学費の補助、居心地の良い学校づくり、選択できる制服など、生徒だけでなく、保護者からも好評のようだ。さまざまな特色を生かして存続を図っている住田町のような取り組みを取り入れるべきと思うがどうか」と答弁を求めた。
 佐々木市長は「住田町の素晴らしい取り組みは承知している。高田高において支援措置を行う必要性があるのか、また講じる場合は時期的にどのような状況の時か、市の財政状況を見極め、他の事例を参考にしながら慎重に検討していきたい」と答えた。