新曲『いのち燦々』リリース ふるさとへの思い込めた〝命の応援歌〟 大船渡出身の大沢桃子さん
令和7年9月11日付 7面

大船渡市出身の演歌シンガーソングライター・大沢桃子さんのニューシングル『いのち燦々』(税込み1500円)が、このほどリリースされた。同市の大規模林野火災で、消火や支援活動にあたる人々を思う中で生まれた〝命の応援歌〟で、ふるさとへの思いを楽曲に託す。(阿部仁志)
平成15年にメジャーデビューした大沢さん。「仲村つばき」名義で作詞・作曲を行い、数々の楽曲を手がけている。
東日本大震災の教訓「津波てんでんこ」を伝える楽曲『命の道』を合唱で広めるプロジェクトを展開し、陸前高田市米崎町の普門寺に奉納されている震災の犠牲者を追悼するつるし飾りを題材にした楽曲『ねがい桜』をリリースするなど、震災伝承やふるさとの応援にも力を入れる。
『いのち燦々』は25枚目のシングルCD。カップリング曲『生まれ変わってもう一度』も収めて、7月23日にリリースした。
曲の着想を得たのは、今年2月に大船渡市で林野火災が発生し、延焼拡大していたころ。出身地の赤崎町にも火の手が及んだ中、「曲制作の締め切りの2日前、テーマも何も決まってないところから、ふっと頭の中に歌が浮かび、一気に書き上げた。初めての感覚だった」と振り返る。
「命を懸けて 誰かを想う 胸熱く」「いのち燦々 行けばいい」──。歌詞には、生きとし生けるものの命のともしびや、全国から大船渡に駆けつけた消防、自衛隊員、支援者らから連想した言葉をちりばめた。壮大な響きの伴奏に、命を歌う大沢さんの熱のこもった旋律が重なる作品。
リリース後は各地で歌い、岩手では8月の「三陸・大船渡夏まつり」で初めて披露。大規模災害を乗り越えて前へ進む大船渡への〝応援歌〟として、力強く響かせた。
大沢さんは「どんなアーティストよりもふるさとを舞台に歌を数多く書いてきたという自負があるが、今回は、ふるさとが私に強いメッセージや力をくれた。ふるさとの皆さんに『いのち燦々』をそばに置いていただけたら、こんなに幸せなことはない。曲に込めた思いを全国の皆さんに届けられるよう頑張りたい」と次のステージを見据えていた。