津波避難に生かして ホームページで公開 裏面に啓発情報記載 市がハザードマップ作成
令和7年9月12日付 7面

県が公表した最大クラスの津波浸水想定を踏まえ、陸前高田市は津波ハザードマップを新たに作成した。津波浸水想定区域外の3地区を除く市内8地区ごとに作成し、広田地区は見やすくするため広田半島を2枚に分けた。裏面にはハザードマップの使い方や平時に可能な備えの事例を分かりやすく紹介。市ホームページで公開(別掲QRコード)しており、活用を呼びかけている。(高橋 信)
県が令和5年8月、津波浸水想定と同じ範囲を「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」に指定したことを受け、4年に作成した簡易版の防災マップを正式版に更新することとした。簡易版の倍サイズであるフルカラーA2判で、▽下矢作▽竹駒▽今泉▽長部▽高田▽米崎▽小友▽広田1▽広田2──の9エリアに分けて作った。
イエローゾーンを点線で囲み、簡易版の場合、津波浸水想定の浸水深に基づいて着色したが、今回は基準水位(浸水深に津波が建物などに衝突した際に、せり上がる高さを加えた水位)を反映させる形で色分けした。指定緊急避難場所や津波警報、注意報などが発令された際の避難対象区域も記している。
いずれのマップも裏面には、啓発情報を掲載。イエローゾーンや基準水位の説明、ハザードマップの使い方、地震・津波から命を守るため
の行動、用意しておくべき非常持ち出し品、備蓄品などをイラスト付きでまとめた。
市は各世帯に居住地区のマップを配布済み。作成対象外の矢作(二又)、生出、横田の3地区の各世帯には、商業施設や病院、公共施設などが集まる高田地区のマップを配った。
県は令和4年3月、日本海溝・千島海溝沿いの最大クラスの断層モデルや、東日本大震災など過去に県内で発生した最大クラスの津波を踏まえた津波浸水想定を公表。5年8月には気仙両市を含む県沿岸部12市町村の浸水想定エリアをイエローゾーンに設定した。
陸前高田市は浸水想定を受け、車避難の方針を含む避難行動のあり方を改めて検討しようと、防災分野の研究者らで構成する有識者会議を設置。これまでに会合を7回開き、避難計画策定に向けて慎重に検討している。
市防災局の中村吉雄局長は「津波に関しては何よりも迅速な避難が大切。平時からこのマップを見てもらい、浸水域を面的に確認してもらい、同時に最寄りの避難場所を把握してもらいたい。裏面には啓発情報を分かりやすく載せており、参考としてほしい」と呼びかける。
問い合わせは、市防災課(℡54・2111内線702)へ。