令和10年度東高食物文化科などの募集停止案── 存続へ一般質問でも論戦 市議会 気仙一丸の取り組みや将来像提案の重要性も
令和7年9月12日付 1面
県教委が示した県立高校再編計画(当初案)で令和10年度に大船渡東の食物文化科(定員40人)と高田の海洋システム科(同)を募集停止とする方向性に対し、大船渡市議会9月定例会一般質問でも、存続を求める観点で論戦が展開されている。答弁で渕上清市長は「募集停止は容認できるものではない」と発言。論戦では、気仙として一丸となった取り組みをはじめ、将来にわたり学科が残るための仕組みや支援策などの重要性が浮かび上がった。(佐藤 壮、2面に一般質問の主なやりとり)
当初案では、海洋システム科を募集停止し、水産に関する学びの機能は宮古水産に集約し、高田は普通科(定員120人)のみとする。食物文化科も募集停止で、家庭に関する学びを農芸科学科内にコース等で維持するが、調理師養成機能は宮古水産に集約され、大船渡東は農芸科学科、機械電気科、情報処理科(各定員40人)となる。
10日の一般質問では、熊谷昭浩議員(新政同友会)が当初案に対する当局の考えをただした。11日も佐藤優子議員(光政会)が取り上げ、12日に登壇する山本和義議員(日本共産党大船渡市議団)も通告している。
熊谷議員の質問に対し、渕上清市長は「地域の未来を育てる人材を育ててきた学びの場が失われるのは、進路の選択肢を狭めるだけでなく、地域づくり全体にも大きな影響を及ぼす。教育環境や、地元企業への影響を踏まえると、今回の当初案には強い懸念を抱いており、容認できるものではない」と力を込めた。
冨澤武弥商工港湾部長は、食物文化科からは食品加工会社や食料品製造会社、介護施設、海洋システム科からは水産加工会社や海洋土木会社への各市内就職実績を挙げ「まさに、両校での学びが地元企業の有益な人材確保につながっている」と答弁。
佐藤議員に対する答弁では、食物文化の生徒が大船渡ビジネスプランコンテストでの発表を機に、商品開発から販売まで実現させ、プラン実現に向けて市内で就職している事例も示した。
熊谷議員は、県教委が来年1~2月に最終案をまとめるとするスケジュールを示している中で「今後の対応が重要だが、時間がない」と指摘。気仙2市1町がスクラムを組んで訴える重要性も強調した。
山口浩雅教育次長は「2市1町が足並みをそろえた形が望ましいと思っている。どういった形で進めるかを考えたい」と同調。小松伸也教育長は「どういう風にすれば存続できるのかも2市1町の教育委員会と市長、町長部局が考え、さまざまな提案をしたい」と述べた。
佐藤議員は、近隣自治体が主体的に県立高校に対して支援事業を行っている現状も示し「学科や学校の存続に寄与している事例もある。市でも、さらなる具体の取り組みが求められている」とし、見解を求めた。
答弁で山口教育次長は、住田町での住田高への教育コーディネーター配置や給食の無償提供、葛巻町での全国から葛巻高入学者を受け入れる環境づくりに言及。県内外で多くの取り組みが行われている状況にも触れたうえで「どのような支援や関わり方が可能かについて検討を深めるとともに、まずは存続を臨む地域の声を県教委に届け、計画案の見直しを強く訴える」と語った。
再編計画の背景には、少子化や人口減に伴う各校入学志願者の減少が大きく、今後も予想される。論戦では、両学科の募集停止のみならず、他校も含めたさらなる学級減の懸念も踏まえた視点も話題となった。
山口教育次長は、市長と各高校機関の関係者が定期的に意見交換を行う場の設定を検討する方針を示した。小松教育長は「当市と陸前高田市、住田町の2市1町が連携し、共通のビジョンを持ちながら継続的な協議の場を設けていくべきと考える。それぞれの高校の校長先生も交えた話し合いによって、より具体的になると思う。生徒の多様な場の学びを存続させたい」と話した。






