立根北部の除外方針変えず 市下水道計画見直し 市議会一般質問 副市長「理解いただきたい」

▲ 大船渡市内の下水道処理を担う浄化センター=大船渡町

 大船渡市がまとめた公共下水道基本計画の見直し案に対し、市当局は12日に開かれた市議会9月定例会一般質問で、立根町の北側を計画から除外する内容について、改めて理解を求めた。同区域は一定の人口数がある半面、整備コストに見合う使用料収入確保の難しさなどを除外の理由として挙げる。市は9月下旬~10月上旬にかけ、除外となる立根町、猪川町、末崎町各区域の住民を対象に、説明会を開催する。
 見直し案を取り上げたのは、山本和義議員(日本共産党大船渡市議団)。「立根地区の基本計画から外される予定の北側地域は、整備予定の南側と比較しても、人口密度も世帯数も多く、除外の合理性がない」と指摘した。昨年度の住民懇談会で示された地区別人口推移のシミュレーションでも、同地区は25年後も微増見込みである点も挙げ、撤回を求めた。
 市は先月21日の市議会全員協議会で、見直し案を示した。全体区域1137㌶のうち、事業計画区域をほぼそのまま残し、216㌶を削減した921㌶を新たな全体区域とするもの。新たな整備は立根、下船渡両分区のみとし、立根町の北側や猪川町の久名畑地域、末崎町の全域にあたる約1700世帯、100事業所の区域を計画から外す内容となっている。
 答弁に立った藤枝修副市長は、見直し案は経済的な比較評価に加え、下水道接続意向などについて聞いた住民アンケートを踏まえたものと説明。「立根町ではすでに56%の世帯で合併浄化槽を保有している。後継者がいないことや、経済的な負担が大きいなどの理由で『下水道に接続しない』と答えた住民の割合が65%と、接続意向が低い」と述べた。
 立根町の大半は、下水道による集合処理方式と浄化槽の個別処理方式を経済面で比較した場合、集合処理方式が有利となっている。しかし、アンケートでの接続意向の低さや、既存の浄化槽の保有状況から、十分な接続数が見込めない可能性があるという。藤枝副市長は建設を進めた場合、すでに示している経営戦略に盛り込んだ下水道使用料の値上げ幅を上回る改定が必要となる見通しに触れた。
 そのうえで「基本計画を踏襲すべきとの意見もあるかと思うが、適正な料金水準維持による市民負担軽減や、メンテナンスの財源確保など、持続的な運営を可能とするための見直し案」と述べ、理解を求めた。
 下水道事業を巡っては、埼玉県八潮市で腐食した下水道管に起因する道路陥没事故が発生し、犠牲者が出たほか、住民生活にも影響が及んだ。山本議員は大船渡市内における事故想定や防止対策もただした。
 今野稔上下水道部長は、事故を受けて国が要請した特別重点調査基準となる管口径2㍍以上などの対象管路は市内にはないという。「市独自で主に鉄筋コンクリート管である幹線管路を対象に、目視等による緊急調査を行った」と述べた。
 最も古い管でも標準耐用年数の50年には達しておらず、腐食や破損は確認されていないという。今野部長は「現時点で道路陥没事故などの発生可能性は低い。市内の最大管口径は90㌢であり、八潮市のような大規模な事故は想定していないが、道路陥没の恐れは排除できず、引き続き点検・調査を実施する」とも語った。
(2面に一般質問の主なやりとり)