復興願い精鋭が集結 ロープレスキュー全国競技会開幕  きょう綾里、あす碁石で(別写真あり)

▲ 震災の爪痕が残る建物で救助技術を発揮する隊員たち

 災害救助技術を競い合う「ロープレスキュー全国競技会in大船渡」(同実行委主催)は13日、大船渡町のキャッセン大船渡周辺で開幕した。全国各地のレスキューチームが、幅広い災害想定の中で日頃の鍛錬の成果を披露した。大規模林野火災の緊急消防援助隊の一員として駆け付けた消防隊員の参加もあり、早期復興への願いも込めた。14日は林野火災で被災した三陸町綾里で、15日は末崎町の碁石海岸が舞台となる。(佐藤 壮)

 

 ロープレスキューは、崖下に転落した人や高いビルに取り残された人をロープと救助資機材を使用して安全に救助する技術。全国競技会は昨年に続く開催で、大会運営の実動部隊となる実行委(村上浩朗代表)は、大船渡地区消防組合職員らを中心に約90人で構成し、準備を重ねた。
 今年は岩手、青森、秋田、神奈川、愛知、沖縄、京都、群馬、鳥取、千葉の各県と北海道から計14チーム、120人余がエントリー。40チームの応募から抽選で絞ったといい、昨年の大会成功や林野火災の関心などから注目度が高まった。
 キャッセン大船渡での開会式では、大船渡地区消防本部の佐々木剛消防課長が「大規模林野火災では、15都道県から2454隊、9136隊員が当市に駆け付け、消防活動に尽力いただいたことに感謝申し上げる。この大会が、今後の救助活動における大きな力になることを確信している」と、鈴木将本部長のメッセージを代読した。

県外から訪れたチームも多く、大規模林野火災からの早期復興への願いも込めた

 選手を代表し、ハチニティ(青森県)の岩﨑航司さん(25)が「温かく受け入れてくれることに感謝申し上げる。どんなにつらい想定でも笑顔を絶やさず、さらなる救助技術の向上に貢献する」と力強く宣誓した。
 装備を整えた各チームは、6カ所の想定場所で救助に臨んだ。昨年に続き、おおふなぽーとの展望デッキと大船渡プラザホテル屋上における救助では、両施設にわたされたロープをつたって要救助者のもとに向かったほか、今年は新たに、東日本大震災の爪痕が残る旧大船渡商工会議所の建物を使ってのレスキューも行われた。降りしきる雨の中で、隊員らは声をかけ合いながら救助者を安全な場所に移送する技術を披露した。
 参加者の中には、大規模林野火災で緊急消防援助隊として駆け付けた消防関係者も。青森消防本部の山上真一さん(51)は「火災があり、今年はできないと思っていた。大船渡の方々の情熱は素晴らしい。参加者として盛り上げていきたい」と話していた。
 14日は「ハイブリッドステージ」として、午前8時~午後4時45分に実施。綾里の綾姫ホールに本部を設け、大規模林野火災の現場などを競技会場とする。
 15日(月・祝)は「ネイチャーステージ」として、末崎町の碁石海岸を会場とし、午前8時~午後3時まで競技。その後は同5時から閉会式をを行う。両日とも観覧可能となっており、会場は本部で確認できる。