26年ぶり開催へ残り半年 全国椿サミット大船渡大会 林野火災、震災の支援感謝の位置づけも

▲ 来年3月の開催を各地でPR=大船渡町

 来年3月14(土)、15(日)の両日に大船渡市内で開催される全国椿サミット大船渡大会まで、残り半年になった。平成12年以来26年ぶりの開催で、同23年は東日本大震災、令和4年は新型コロナウイルスの影響でそれぞれ中止となっており「三度目の正直」に向けて準備が進む。震災から15年、大規模林野火災から1年のタイミングにも当たり、復興支援への感謝を発信する場としても位置づける。成功に向け、市民活動の広がりにも力を入れる。(佐藤 壮)


市民活動の広がり見据え

 

 大船渡大会は、市内関係団体で組織する実行委員会と市が主催。ツバキを自治体花木に指定している市町村等で組織する全国椿サミット協議会と、日本ツバキ協会が共催し、全国椿サミット自体は各地で年1回開催される。ツバキの魅力を再確認し、ツバキを生かした地域振興につなげようと、開催地の自治体・各種団体が中心となり準備・運営を進める。
 実行委員会は昨年7月に発足。今年7月には、キャッチフレーズを「椿に託す感謝の想い 復興の歩みを未来へ」に決定し、今月3日の会合では、大会の事業内容を承認した。
 3月14、15日のリアスホールを会場とした事業には、一般市民の来場も広く呼びかけ、全国各地からの事前出席申込者200人を含め、1000人の参加を目標としている。初日の14日は、午前に全国椿サミット協議会と一般社団法人日本ツバキ協会の各事業があり、午後からの大ホールステージ事業などは、市民らが無料で入場できる。
 サミットに先立ち、復興事業で整備された街並みを含む紹介動画の上映が行われる。渕上清市長による震災、大規模林野火災に関する経過報告や、多方面から寄せられた支援への感謝を発信する。
 オープニングセレモニーには、大船渡東高校太鼓部が登場。同校生徒によるツバキに関する活動発表も予定している。引き続き、岩手大農学部の真坂一彦教授と相川ゆきえ氏が、末崎地区植樹地での調査等に基づくヤブツバキの生育不良要因の解明などについて解説する。
 さんりく・大船渡ふるさと大使を務めるアカペラユニット・XUXU(シュシュ)は、地元合唱団体との共演も予定。大船渡町の「平こども七福神」の披露も行われる。
 休憩を挟み、市内に事業所を構える㈱バンザイ・ファクトリーの髙橋和良代表取締役が、ツバキの植栽によるレッドカーペット・プロジェクトや、椿茶をはじめ産業化の各取り組みを発表する。引き続き行われる記念ステージでは、同市出身の歌手・新沼謙治さんが 出演する。
 リアスホールでは15日まで、シンボルとなる大きなツバキや芸術作品を展示。震災、林野火災の各パネル展示に加え、復興支援団体や地域に根ざした活動を続ける大船渡ツバキ協会の紹介も行う。つばきゆべし作りや民間団体によるツバキの関連グッズ販売、茶席などを通じ、にぎわいや交流の創出も目指す。
 15日は、事前申込者を対象とした現地視察・昼食を計画。世界の椿館や三面椿に加え、コースに分かれ碁石海岸、椿園、大船渡駅周辺を散策する。昼食会場となる大船渡町、末崎町の飲食店では、椿油を生かした料理ができないか検討する。
 市民活動として、来月上旬には椿サミットを記念した苗の植栽や、椿園内の清掃活動を計画。さらに、市内の地域公民館などに周知を図り、毎年きれいに咲き誇りながらも周囲の木々で見えにくいといったツバキの群落地で伐採整備作業も進めることにしている。
 開催まで残り半年になり、今後は目に見える形での活動が本格化する。平成23年、令和4年の中止に伴い実現できなかったアイデアの具現化や「三面椿」を生かした活性化策、支援の一環で震災後に植樹されたツバキの利活用など、充実した大会にするためのポイントは多岐にわたる。
 さらに震災や大規模林野火災からの歩みを振り返る機会にもなる。歓迎体制を構築する中で、より多くの市民らを巻き込んだ形で感謝の思いを示すことが鍵になりそうだ。