多彩な食 充実の2日間 種山高原星座の森&住田気仙ツアー 坂東シェフや生産者らと交流(別写真あり)

▲ 住田産の野菜などを生かしたリゾットの調理体験も

 東京都新宿区のワイン食堂「kerasse(ケラッセ) Tokyo」による「種山高原星座の森&住田気仙ツアー」は14、15の両日、住田町などで行われた。住田にゆかりがある坂東誠シェフ(52)と首都圏在住の約10人が、住田産の肉や野菜などを堪能しながら、地元生産者らと交流を深めた。
 坂東シェフは平成28年秋から2年間、同町のまち家世田米駅内のレストラン「すみたのだいどころ kerasse」で腕を振るい、その間も料理教室を運営するなどしてきた。地元生産者らとともに、レストランの常連客らを招くツアーを初めて企画した。
 初日は陸前高田市内に入り、高田松原津波復興祈念公園を巡ったあと、ケラッセでも人気を集めるワインを製造する米崎町の神田葡萄園を訪問。宿泊場所となる奥州市のコテージ付きキャンプ場・種山高原星座の森に向かう途中で、住田町世田米の応急仮設住宅本町団地跡地に整備された「イコウェルすみた」を見学した。
 星座の森での夕食は、坂東シェフらによるバーベキューに舌鼓を打った。ありす畜産のブランド豚・ありすぽーくや町産の鶏肉、気仙沿岸の養殖カキ、気仙産のワインなどを堪能しながら交流を深めた。
 2日目の朝食も、坂東シェフが地元食材を用いて調理。上有住にある、ありす畜産の生産現場を訪問したほか、上有住で野菜を生産する住民を訪ね、キュウリなどを収穫した。
 同地区公民館での昼食は、ありすぽーくや町内の産直施設で購入した食材を用いて「住田町産夏野菜とひとめぼれのリゾット」の調理体験を行った。坂東シェフからのアドバイスを受けながら、フライパンに次々と地元産食材を入れていくと、館内いっぱいに香ばしさが広がった。
 前日から、坂東シェフが「食べきれないのでは」と心配するほどの量を用意したが、地元ならではのおいしさを知った参加者は昼食時も食が進んだ様子。案内役を務めた上有住の生産者らとも打ち解け、充実した2日間を締めくくった。
 新宿区在住の髙橋深玲亜さん(26)は、神奈川県相模原市在住の母・美由紀さん(57)と一緒に参加。深玲亜さんは「ケラッセにはよく行っているので参加した。いっぱい食べて、飲んで、とても楽しかった。地元を知っていなければできない体験だった」、美由紀さんは「仮設住宅団地の2次利用など、東日本大震災からの歩みも勉強になった」と語り、笑顔を見せた。
 坂東シェフは「臨機応変に対応しながらの2日間だったが、皆さんに楽しんでもらえて良かった。また開催できれば」と話していた。