各祭組の稽古にも熱 28日に松嶋神社式年祭 末崎町 震災乗り越え24年ぶりに(別写真あり)

▲ 奉納舞の目玉として注目が集まる「平組はしご虎舞」

 大船渡市末崎町字峯岸地内に鎮座する松嶋神社の式年祭(12年祭)は、28日(日)に挙行される。東日本大震災津波で社殿などが流失したが、支援を受けて再建し、今回が24年ぶりの開催。当日は8祭組による奉納舞や地元船団による海上渡御(曳舟)が予定されており、各祭組では本番の成功に向け、稽古に熱が入っている。
 細浦漁港の南側に位置し、漁港を見渡せる小高い丘の上に鎮座する同神社。宮城県・金華山の分霊をまつり、〝海の神様〟として漁業者らの信仰を集めている。
 平成23年の震災津波で社殿や鳥居などが流失し、神社を管理していた別当家も被災。同26年に大阪府の学校法人「浪速学院」からの支援で社殿が復旧し、東京都の下谷神社から鳥居、地元の㈲遠藤石材販売からこま犬の寄贈を受けて再建を果たした。現在は、同町神坂の熊野神社(宮﨑和貴宮司)の氏子総代会が護持運営を担っている。
 海上安全や大漁を祈願する式年祭は12年に1度、巳年の巳の月(5月頃)に挙行。各地域による余興奉納や神輿渡御、呼び物の曳舟など、地域を挙げて盛大に行われてきた。12年前の平成25年は震災の影響で断念し、24年ぶりの今年は、大規模林野火災の状況をみて9月に延期した。
 熊野神社に管理が移って初の式年祭で、祭典実行委員会(梅澤肇委員長)を中心に計画。当日は、峰岸、細浦、船河原、神坂、小田、平、小細浦、中野の8祭組が奉納舞を披露する。
 平地域では今月に入り、市指定無形民俗文化財の「平組はしご虎舞」の稽古を始めた。かつては、松嶋神社の式年祭でも高さ約16㍍の本はしごを使っていたが、漁港整備などによる設置環境の変化を考慮し、今年は屋内用として作られた約6・2㍍の短いはしごを使用することとした。
 今回は、長年はしご虎舞の頭を担ってきた佐藤実さん(40)が出演できないため、才坊の尾崎将さん(31)が代役として担当。佐藤さんが、はしご上での細かな動きを指導し、尾崎さんが体に染みこませた。
 佐藤さんは「落ちないように、慣れて余裕が出てくれば大丈夫。心配はしていない」と声をかけ、尾崎さんは「才坊とはまた違うしんどさがあるが、先輩より〝活き〟のない虎にならないように頑張りたい」と意気込んだ。
 同虎舞保存会長も務める平地域公民館の金野一郎館長(67)は「後継者育成や世代交代のためにも、今回はいい機会になるのではないか」と話している。