LINEで情報伝達も 10月5日に地震・津波想定の市防災訓練 避難者受付、自主防災組織報告など

▲ 市公式LINEを生かした自主防災組織報告も訓練で実施する方針。スマートフォンを生かし、安全・迅速な避難体制の確立を図る

 令和7年度大船渡市防災訓練は10月5日(日)午前7時30分から、市内で行われる。東日本大震災や、同4年に県が公表した最大クラスの地震・津波と同程度の災害を想定。本年度は、盛小学校体育館を中心に県の避難者把握システムを活用したLINE(ライン)の実証実験を行うほか、各自主防災組織には任意で、市公式LINEも活用して活動・状況写真を受け付ける。迅速・的確な情報収集伝達の確立に力を入れる。(佐藤 壮)

 

 同市の防災訓練は、命を守る住民自身の行動や初動体制の構築、防災関係機関との連携や情報伝達などを確認することで、津波発生時の安全・迅速な避難体制の確立などを図ろうと毎年実施。
 今年は10月1日にマグニチュード7・3、最大震度5弱の地震で「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表され、同5日午前7時30分ごろに「かなり強い地震」が発生したとの想定で行う。
 津波最大波の高さは15㍍で、到達予想時刻は同8時。地震で市内各地で家屋損壊や停電、断水、孤立地域の発生などがあり、建物火災が発生して延焼拡大の恐れがある状況も見据えた対応をとる。
 防災行政無線では同7時30分の地震発生や5分後の大津波警報発表のほか、同8時ごろには緊急津波広報も流す。終了予定は同9時。
 訓練では、避難や避難誘導など、いざという時に命を守る行動などを確認。津波警報などの通信訓練や、市災害対策本部設置訓練、市内11地区13カ所での地区本部立ち上げなど、災害時の初動体制も確認する。
 本年度は新たに、盛小学校体育館で、県の避難者把握システムを活用した実証実験を行う。これまでは紙に記入して名簿を作成し、避難者情報を管理するのが一般的だが、受付場所の混雑や、市側の避難者取りまとめに時間を要するといった課題がある。来年度の運用開始を目指し、県内各地で実証実験が行われている。
 訓練では、スマートフォンで県LINEアカウントの「友だち登録」から氏名などを登録して受付時に読み取る事前型と、会場でQRコードを読み取り、氏名などの情報を登録する現地型で対応。さらに、スマートフォンを持っていなかったり、LINE未登録者向けには、代理登録も受け付けることにしている。
 市は今年、デジタル技術を生かした「行かない窓口」の一環で、市公式LINEアカウントの更新を進め、新機能の運用を本格化させた。「損傷報告」の中にスマートフォンでの撮影画像を送信できる機能も付いていることから、本年度の訓練では自主防災組織の活動報告に生かす。この機能は、災害時の孤立した場合の通報などにも活用できるという。
 LINEメニューの防災カテゴリーから「損傷報告」を選ぶと「道路・公園などの損傷を通報する」とのメッセージが表示される。そこから「LINEでこのまま通報する」を選択すると「自主防災組織報告」があり、写真撮影による参加報告書の送信に加え、位置情報の報告もできる。
 盛小では、陸上自衛隊の連携訓練も実施。自衛隊給水車両などへの補水や避難所での給水に加え、給仕車両などを生かした調理・配膳も予定している。合わせて自衛隊車両の展示、PRブースも設ける。
 自主防災組織では、避難行動要支援者名簿の活用による避難支援や、避難所運営マニュアルに基づく開設といった独自訓練を行う動きもあり、市防災管理室では各地域で行われる取り組みへの住民参加も呼びかける。
 問い合わせは同管理室(℡27・3111)へ。