日本選手権で男子総合2位 大船渡市末崎町出身・寺澤選手 佐渡国際トライアスロン リベンジならずも「勝機ある」
令和7年9月21日付 6面

「2025佐渡国際トライアスロン大会第29回日本ロングディスタンストライアスロン選手権」はこのほど、新潟県・佐渡島のコースで開かれ、おととしの日本選手権王者で2年ぶりの出場となった大船渡市末崎町出身のプロトライアスリート・寺澤光介選手(31)=SUNNY FISH所属、東京都=が、Aタイプ(スイム4㌔、バイク190㌔、ラン42・2㌔)・ナショナルチャンピオンシップ男子で総合2位となった。今年4月の宮古島大会で3連覇を阻まれた優勝選手にリベンジはかなわなかったものの、「どこかで勝機はある。自分のやるべき準備をして、諦めずに追いたい」と先を見据える。(菅野弘大)
寺澤選手が佐渡での日本選手権に初出場したのは令和4年。初挑戦で準優勝すると、翌5年には初優勝を飾った。昨年はパリパラリンピックのガイド活動のため見送り、今回が2年ぶり3度目の出場となった。
昨年までの日本選手権は、スイム2㌔、バイク108㌔、ラン21・1㌔のミドルディスタンス(Bタイプ)で行われてきたが、今年からロングディスタンス(Aタイプ)の距離に変更。大会には、今年4月に沖縄県・宮古島で開かれた「全日本トライアスロン宮古島大会」で、寺澤選手の3連覇を阻んだショートディスタンス元日本・アジア王者の古谷純平選手(34)もエントリーした。
最初のスイムは、自らが決めたペースに集中しながら、2番手でトップの古谷選手についていく展開を想定。「焦らずペースを守り、前とのタイム差もそこまで広がらず、予定より良い状況でバイクに移れた」と振り返った。
続くバイクは、強風の中で「踏めていない感じがあり、パフォーマンスは良くなかった」と回顧。後続の追駆を気にかけながら、2位のまま最後のランで巻き返しを図った。
ランの前半は目標ペースで快調に進んでいったが、21㌔地点から腹部にたまったガスの影響で痛みが出始め、徐々にペースダウン。「バイクで補給食を取り過ぎたのが原因」と分析し、「熱中症気味だったのかもしれない。残りの力を振り絞ってのゴールだった」と苦しみながらも2位でフィニッシュした。
宮古島大会のリベンジは果たせなかったが「2位を死守できてほっとした。古谷選手との差を感じているが、何かで勝つチャンスはあると思っている。しっかりと自分のパフォーマンスを出して追いたい」と機会をうかがう。
個人競技としては、12月にアイアンマン・バッセルトン(西オーストラリア)が控える。バッセルトンは2年前、寺澤選手が初めて出場したアイアンマンレースの思い出の地。「ここに照準を合わせてトレーニングしてきた。初出場の時のタイムをまだ更新できていないので、過去の自分を超えたい。年内最後のレースでもあり、今年一年の集大成にできれば」と誓う。
また、今月28日(日)には、久慈市で開かれる「第10回久慈あまちゃんマラソン大会」に、パリパラ大会でタッグを組んだ米岡聡選手(40)=三井住友海上=とともに、ゲストランナーとして参加。大会前日の27日(土)には、2人で同大会の記念講演会の講師を務める予定で「岩手出身のアスリートとして、県内のイベントに呼んでいただけることはうれしい」と感謝する。
10月12日(日)には、千葉県で開かれる「アジアトライアスロンパラ選手権」に、山田陽介選手(28)=東京都トライアスロン連合=のガイドとして出場する。「優勝できる可能性は十分にある」とし、「目標達成を目指す山田選手の助けになりたい。アジア選手権優勝は、個人競技でも経験がない。ガイドだが、自分のレースと思って臨みたい」と力を込める。
個人競技だけでなく、パラガイド活動やプロトライアスリートとしてのイベント出演など、活躍の場を増やしている寺澤選手。「地元からの応援が本当にありがたい。トライアスロンはまだまだなじみのないスポーツかと思うが、自分の活躍を見ていただき、元気や何かに挑戦するきっかけを与えられれば」と話していた。