9年3月末までに完成へ 昭和橋の架け替え工事 橋桁架設など着手予定
令和7年9月25日付 1面

県が住田町世田米の気仙川で進めている昭和橋の架け替え工事が、令和9年3月末までに完了する見通しとなった。今年8月末には、橋脚と世田米商店街側の護岸の一部が完成。今後は橋桁などの上部工工事を進める予定で、県大船渡土木センター住田整備事務所では「計画通り進むよう努めていく」としている。(清水辰彦)
気仙川に架かる長さ73㍍の昭和橋は、昭和8年に架けられた。かつて宿場町として栄えた世田米商店街側と、町役場などがある川向地区を結ぶ。気仙川沿いに立ち並ぶ蔵並みと調和し、歴史や古き良きたたずまいを感じさせる景観を形成してきたが、県の治水対策の一環で架け替えられる。
新しい橋は、鋼桁とコンクリートを合成したものを用いて建設。橋長は72㍍、幅員は7・8㍍。工事は気仙川の稚魚放流時期やアユ漁解禁期間、出水期を避けながら進められている。
旧橋の解体工事は令和4年11月に開始となり、5年1月に撤去が完了。町役場側、商店街側それぞれの橋台は5年度中に設置が完了した。
6年度からは、橋の中央部に設けられる橋脚などの下部工工事や、商店街側の護岸整備が進められており、今年8月末には橋脚、護岸の一部(延長約50㍍)が完成。11月中旬には、クレーンによる橋桁の架設工事に着手する予定としている。
来年7月上旬に上部工が完成予定で、その後は町道の取り付け道路工事を経て、9年3月末までに工事が完了する見込み。
護岸工事も引き続き行っていき、8年度中に左岸側延長189㍍を整備。以降、右岸側178㍍の工事を進めていく。今回完成した護岸には、橋の背後に並ぶ蔵並みとの調和を図るため、自然石を使用。石の一つ一つをアンカーとパネルで固定する「アンカー式空石積」方式を採用することで、抜け落ちが発生しづらい構造となっている。
旧橋の高欄に残っていた太平洋戦争の空襲で弾片が貫通したとされる穴や、橋名を記した親柱は新橋完成後にモニュメントとして設置する予定で、現在は世田米の町農林会館近くで保管されている。