「あわび焼きそば」盛岡へ 大船渡東高の食物文化科3年生が調理 10月4日、材木町よ市内で販売(別写真あり)
令和7年9月26日付 7面

大船渡市立根町の県立大船渡東高校(今野晋校長)で24日、食物文化科の「食のchallengeコース」に所属する3年生8人を対象とした「あわび焼きそば」調理講習会が開かれた。三陸町内の事業所が製造・加工するアワビ製品を用いて、香りや食感をふんだんに楽しめる一品を仕上げた。生徒たちは、10月4日(土)に盛岡市の「材木町よ市」内の一角で調理し、訪れた人々に販売する。(佐藤 壮)
調理講習会は、大船渡商工会議所による「蝦夷あわびを活用した地域活性化事業」の一環。昨年度は復興庁の「新ハンズオン支援事業」を活用し、市内で漁獲、加工される蝦夷アワビに着目した地域活性化事業を展開。食物文化科で同コースに所属する3年生の生徒たちは、郷土料理「としるの貝がら焼き」の調理を通じ、肝部分を生かす技術などを習得した。
本年度も、新たな顔ぶれとなった同コース8人の生徒たちが、アワビにちなんだ活動を重ねる。より多くの人々に、気仙で製造・加工されるアワビ商品のおいしさに触れてもらおうと、夏休み明けからオリジナルの焼きそば作りを本格化させている。
調味料には、三陸町綾里の野村海産㈱が製造する、肝(としる)を使ったしょうゆ製品の「あわびの精」を使用。さらに、としる自体も溶かして具材や麺に合わせると、香ばしさが広がる。
火を入れて容器に盛り付けた後には、越喜来の㈲田村蓄養場三陸営業所が手掛ける煮アワビに加え、昨年度の商議所事業での試作で好評を博した干鮑の「けずり節」を添える。見た目や食感、干鮑ならではの風味それぞれが引き立つよう試行錯誤を重ねてきた。
本番まで10日に迫った中、この日の調理講習会は、より会場に近い形を想定し、同校ピロティーに鉄板やプロパンガス、作業台などを用意。県飲食業生活衛生同業組合大船渡支部の千葉武継支部長らが見守る中、具材や麺を炒め、盛り付け、来店客に手渡す一連の流れを確認した。
焼きそばの調理は何度か行い、麺を熱しながらの味付けや、調味料を具材に絡めるタイミングなどを変え、市内事業所が手がけるアワビ製品の魅力を十分に生かすよう研究を重ねた。
鉄板で炒める調理を担当する紀室匠来さんは「大きな鉄板を使う機会はあまりないので、少しずつ楽しさを感じるようになってきた。衛生面を徹底して、アワビの魅力をみんなに知ってほしいという思いを乗せて提供したい」と話す。
千葉支部長は「お客さんの目の前で調理して提供するのは、願ってもないチャンス。楽しんできてほしい」とエールを送る。
「材木町よ市」は盛岡市材木町で毎週土曜に開催され、10月4日には同商議所に事務局がある三陸けせん希望ストリート連絡協議会が「三陸けせん食べて飲んでストリート」と称した一角を確保。「あわび焼きそば」は午後3時10分~6時30分に限定100食を販売し、さらに気仙の事業者も弁当や丼物、地ビールなどを並べることにしている。