新たな共創関係実現目指す 市と㈱博報堂 地方創生に関する連携協定締結(別写真あり)

▲ 連携協定書に署名した佐々木市長㊧と磯村取締役㊥、市政策アドバイザーに委嘱された北川さん(電子新聞に別写真あり)

 陸前高田市と東京都の大手広告代理店・㈱博報堂(名倉健司代表取締役社長)は24日、地方創生に関する包括連携協定を締結した。市は、同社戦略クリエイティブ・ディレクターの北川佳孝さん(46)に市政策アドバイザーの委嘱状を交付。今後、地方創生を軸にした産官の新たな共創関係の実現を目指し連携していく。
 同市では、東日本大震災後展開してきたハード面の復旧事業が、今年5月の県指定有形文化財「旧吉田家住宅主屋」開館で完了。復興への新たなステップを踏む中、少子高齢化による労働力不足や産業の後継者不足など諸課題が山積している。
 協定は、こうした市の課題解決や今後の展望に対し、博報堂グループで蓄積された多分野のノウハウや広い企業ネットワークを生かすもの。▽地方創生▽観光資源の魅力向上▽農林水産業の魅力向上▽関係人口の拡大▽その他地域振興──に関する連携を図り、地域の企業、団体、有識者らとも協働しながら、地方の新たな価値やビジネスを共に創造する。
 市役所で行われた協定締結式には、市と同社の関係者合わせて約10人が出席。
 はじめに、石渡史浩副市長が協定の概要を説明。同市の元ふるさと大使・佐々木寿美映氏を通じて市と同社がつながりを持ち、協定締結に至った経緯に触れた。
 このあと、佐々木市長が「発想力や発信力を持ち、多くの企業との関係があるグローバル企業との連携により、地方創生に向けた新たな視点を得ることができると考える。地域活性化に向け、心強いパートナーと一緒に取り組んでいきたい」とあいさつ。
 同社の磯村美樹取締役専務執行役員は、地方創生に関わる全国各地での取り組みの実績を示しつつ、「いろいろな生活者がいる中、どういった価値を創造できるかという〝生産者視点〟が非常に重要。みなさんが抱えている課題を解決できるよう一生懸命やりたい」と語った。
 続いて、佐々木市長と磯村取締役がそれぞれ協定書に署名。北川さんには、佐々木市長から市政策アドバイザーの委嘱状が交付された。政策アドバイザーは同市の政策・専門的事項について、市に対し助言や政策提言を行う役目を担う。
 北川さんは「(震災で被害を受けた)陸前高田市での新しい動きは日本人にとっての活力につながる。三陸は、海という大事な資産があり、可能性があるエリアでもある。情報発信やコミュニケーションのプロとしてお手伝いさせていただきたい」と意気込んだ。
 また、「博報堂グループ各社が担当しているいろんな企業、自治体、行政との仕事の話も知見として使える。自治体と、社会課題に関する取り組みを行う企業のさまざまなパターンの中から、何が陸前高田と合うかを考える〝目利き役〟にもなりたい」と見据えていた。
 協定締結期間は同日から来年3月末まで。両者の合意により期間を更新する場合がある。