東高食物文化科募集停止計画など再検討を── 全会一致で意見書可決 市議会定例会最終日に議員発議、県に提出へ

▲ 全議案を可決して閉会した市議会9月定例会

 大船渡市議会9月定例会は25日に最終本会議が開かれ、令和6年度一般会計や各種特別会計決算を認定したほか、本年度一般会計補正予算をはじめ当局提案全議案を可決し、閉会した。議員発議案「『第3期県立高等学校再編計画(当初案)』の沿岸南部地区における大船渡東高等学校食物文化科の募集停止に関する意見書」も全会一致で可決。高田高の海洋システム科の募集停止も含めた計画の再検討に加え、大船渡東高に調理師養成の機能を残すよう県や県教委に求める。(佐藤 壮)

 

 議員発議案は佐藤優子議員(光政会)が提出。賛成者には熊谷昭浩議員(新政同友会)森亨議員(光政会)遠藤章議員(清陵会)船砥英久議員(改革大船渡)滝田松男議員(日本共産党大船渡市議団)と、全会派の代表が名を連ねた。
 意見書は▽大船渡東高食物文化科、高田高海洋システム科の募集停止における影響を十分に考慮し、計画の再検討を▽食物文化科の存続にあたっては、調理師養成の機能を残す▽法規定に基づく1学級40人について、少人数学級の導入と教職員の配置に係る経費負担を国に要望する──を求める内容。提出先は県知事と県教委となっている。
 県教委が先月発表した「第3期県立高等学校再編計画(当初案)」では、10年度に両科を募集停止とする方向性が示されている。意見書では、気仙の基幹産業である食産業や水産業を支える人材育成に直結している現状を強調し、食物文化科に関しては、地元食材を生かした商品開発など実践的な学びの展開による地域貢献にも言及している。
 学科削減により、教育機会の縮小や地域産業などへの影響を懸念。さらに、1学級40人の定員規定も「依然として大きな制約で、地方における多様な学びや少人数教育の実現を困難にし、地域の実情に応じた柔軟な教育体制の構築を妨げている」と指摘する。
 地域住民や商工業関係者からも「地域に必要な学科」との強い存続要望が寄せられている点も明記。地域の切実な声を十分に受け止め、慎重な議論と見直しを求める。
 再編計画を巡っては、10日~12日の一般質問でも各議員が取り上げ、市当局側も見直しや学科存続を求める姿勢を示している。
 最終本会議の審議では、議長を除く全19議員で構成する決算審査特別委員会(渡辺徹委員長)が18、19日に審査した一般会計と魚市場事業、介護保険(介護サービス、保険)、後期高齢者医療、国民健康保険(事業勘定、診療施設勘定)の各特別会計決算、下水道、水道の各事業会計決算に関する議案も、全て全会一致で認定された。
 7年度一般会計補正予算は、歳入歳出の総額に13億1194万円を追加し、総額を244億9631万円とする。このうち、大規模林野火災関連事業は6億3634万円となっている。
 基金管理事業は5億3000万円で、大規模林野火災に伴う災害見舞金をまちづくり基金として積み立てる。大規模な面積に及ぶ林野復旧事業などが8年度以降も見込まれ、財源確保が課題となる中、安定した運営につなげる。
 さらに、林業・木材産業循環成長対策事業として6674万円を計上。国や県の財源も生かしながら、林業機械が焼失した気仙地方森林組合の再取得を支援する。補助率は4分の3。
 このほか、市議選や市長選における選挙運動用自動車使用やビラ・ポスターの作成、市職員の勤務時間や休日・休暇、甫嶺復興交流推進センター設置管理、機能別消防団員導入をはじめとした市消防団員の定員・任免・報酬・服務に関する各条例の一部改正に関する議案も可決した。
 甫嶺復興交流推進センター設置管理は、これまで宿泊時の使用料を2500円としていたが、来年4月から「上限額」として5000円に改める。近隣市町の同様施設の状況などを踏まえたもので、現段階では500円程度の値上げや、需要期などに合わせた変動が想定されるという。
 県教職員組合南リアス支部(熊谷智徳支部長)が提出した請願「『カリキュラム・オーバーロード』の改善を求める意見書採択」は賛成多数で採択。小松則也議員(新政同友会)が提出した同内容の意見書も可決した。