「ありがとう」伝えよう 市、震災支援のシンガポールに市民団派遣 来月訪問 市役所で結団式(別写真あり)

▲ 結団式に臨んだ訪問団メンバーら

 東日本大震災後の復興支援を機に交流するシンガポールに対し、これまでの感謝を直接伝えようと、陸前高田市は10月8日(水)から12日(日)まで、同国に市民訪問団を派遣する。今月26日、市役所で訪問に先立つ結団式が行われ、代表が「『ありがとう』という気持ちを心を込めて伝えてくる」と佐々木拓市長に述べた。
 訪問団メンバーは女性8人で、市職員2人が随行する。結団式には7人が臨み、佐々木市長から激励を受けた。
 一行は10月8日に陸前高田をたち、9~11日に在シンガポール日本国大使館、シンガポール外務省、同国赤十字社、大学などを訪問する。現地の住民との交流会、異文化共生社会のモデル地区とされる同国東部タンピネスの視察も行い、12日に帰国する。
 シンガポール政府は震災後、陸前高田市の被災者らが交流する拠点を失った事態を受け、同国赤十字社とともに創設した基金から、市コミュニティホール建設費の半額として7億円を寄付。平成27年に開館した施設内の多目的ホールは、同国への謝意を込めて「シンガポールホール」と名付けられた。
 このほか、同国は夢アリーナたかた、市立図書館の設備導入も支援。大学進学を目指す高校生らをサポートする寄付も行った。
 一方、市は震災後、「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」として、年齢や性別、障害の有無などあらゆる垣根を越えた共生社会の構築を進めており、多民族国家で共生社会の先進国とされるシンガポールから、多様性などについて学ぼうとさまざまな交流事業を展開。東京五輪・パラリンピックでは、同国の「復興ありがとうホストタウン」「共生社会ホストタウン」になった。
 令和3年には支援への感謝を発信し、友好関係の深化を願うシンボルとして、コミュニティホール前に同国政府公認のマーライオン像を建立。今夏、市国際交流協会が実施した高田高生の同国派遣の補助金も交付した。
 市民訪問団代表の伊藤清子さん(73)=矢作町=は「コミュニティホールは日々の活動で使わせてもらっている。『ありがとうございました』という気持ちを心を込めて伝えたい」と語った。
 佐々木市長は「市民代表として訪問してもらう大事な事業。シンガポールをより好きになってもらい、市とシンガポールとの(友好の)架け橋となってもらう重要な役割を担っていただきたい」と期待を込めた。