被災60世帯に意向調査 大規模林野火災 住宅再建方法など把握へ
令和7年9月27日付 1面

大船渡市は、大規模林野火災で住宅が全焼し、仮設住宅などに暮らす被災世帯向けに「今後の住まいに関する意向調査」を進めている。赤崎町や三陸町綾里に自宅があった約60世帯に対して、調査票を郵送し、10月末までの回答を求める。住まいの再建方法や移転時期の見込みに加え、決めていない世帯に対しては理由や不安点などを確認。市では令和8年度の予算編成や、継続的な開催を計画している相談会などへの反映を見据える。
(佐藤 壮)
予算確保や相談会見据え
住まいに関する意向調査は、発災直後の3月以来となる。前回は主に、仮設住宅の入居希望を確認する内容が中心だったが、今回は今後の住宅再建に関する質問で構成している。
再建方法に関しては▽自宅を再建▽公営住宅▽民間賃貸住宅(アパート・借家)▽その他(施設などに入所、親族と同居など)▽再建方法が決まっていない──から選択。回答別に質問を設けている。
自宅再建は、被災した場所で新築するかを確認するほか、購入の場合は予定している町名などを記載。金融機関からの借り入れ予定も尋ねる。
公営住宅や民間賃貸住宅では、現在暮らしている住宅での継続入居希望かどうかなどを把握。施設等への入所や親族との同居など「その他」の選択に関しても、今後の見込みを聞く内容となっている。
再建方法を決めていない世帯に対しては、「支援制度が分からない」「収入が少なく、移転後の生活の見通しがつかない」「今後の生活について相談できる人がいない」など、理由の選択を求める。
また、再建方法にかかわらず、現在の住宅から引っ越しをする移転予定時期を質問。このほかに、住宅再建に関する不安や気がかりなこと、相談したい内容について記入する欄も設けている。
市は本年度、林野火災で住宅を焼失した人が10立方㍍以上の県産材を使用して市内に事業所がある業者が施工する住宅再建に対し、最大100万円を補助する独自策を設けた。意向調査の内容は、こうした住宅支援に向けた来年度以降の財源確保に役立てたい考え。
さらに、今秋から隔月で相談会を開催することにしており、被災世帯の不安や関心に合わせた体制づくりにも反映させる。
市住宅管理課の三浦寛基課長は「現段階での意向や、困っていることなどを教えていただきたい。寄せられた回答は、各種補助金の財源確保や相談会の開催に反映させたい」と話している。
大規模林野火災を受け、県や市は、被災した赤崎町外口の16世帯、綾里の46世帯に対し、仮設住宅の提供を進めてきた。このうち、建設型は旧蛸ノ浦小グラウンドに7戸、旧綾里中グラウンドに26戸整備。5月に完成し、蛸ノ浦が7戸、綾里が19戸で利用が始まった。
同月時点での民間アパートなどの「みなし仮設住宅」利用は12世帯で、公営住宅は県営8戸、市営10戸の計18戸で入居。災害救助法に基づく仮設住宅の入居は、原則2年間となっている。「被災家屋を修理する」や「身内と一緒に暮らす」といった意向は6世帯だった。
また、市と県、住宅金融支援機構は合同で、7月29日と8月4日に住宅再建支援制度説明会を開催し、計25世帯が参加した。被災した土地が土砂災害特別警戒区域に入っているケースもあり、個別相談に臨んだ住民からはさまざまな不安が寄せられた。