「にっぽん丸」最後の寄港 来年5月に引退 感謝込めて出迎えと見送り(別写真あり)

▲ 25回目の入港を飾った「にっぽん丸」

かわいらしい鹿踊りを披露する大船渡保育園児

 商船三井クルーズ㈱(東京都)の客船「にっぽん丸」(2万2472㌧)が28日、大船渡市の大船渡港野々田ふ頭に入港した。来年5月に引退する予定で、今回が最後の寄港となる。市や大船渡港振興協会は、これまで何度も訪れた船体に感謝を込めながらもてなすとともに、出港時には幅広い住民らが岸壁に詰めかけ、心を込めて見送った。
 入港は令和4年11月以来で、通算25回目。午前8時ごろに大船渡湾内を進み、野々田ふ頭では地元関係者約50人が大漁唄『御祝い』に合わせて舞や太鼓などを披露した。地域住民らも歓迎で訪れ、家族とともに来た立根小学校の小野寺和奏さん(5年)は「これぐらい近くで見るのは初めて。とても大きい」と語り、笑顔を見せた。
 今回の寄港は、日立ポートサービス(日立埠頭㈱、茨城県)の企画による横浜港発着のチャータークルーズで、乗船客は約380人。デッキに出た乗船客は、拍手を送るなどして歓迎への感謝を示した。
 岸壁に降り立った茨城県那珂市の後藤妙子さん(75)は「大船渡には、東日本大震災前に一度来たことがある。震災で大変だったと思うが、船からの景色は穏やかで、落ち着いた感じがした」と話していた。
 乗客は碁石海岸や平泉、三陸鉄道などに向かうバスツアーに参加したほか、岸壁に設けられた物産販売コーナーなどに立ち寄った。岸壁では、海産物ふるまいコーナーとして炭火焼きのサンマが振る舞われた。
 出港に合わせたセレモニーでは、陸前高田市・氷上共鳴会の氷上太鼓演奏が繰り広げられ、躍動感あふれる音色と動きで魅了した。引き続き、大船渡保育園の園児が鹿踊りを披露。かわいらしい動きに、乗船客らも目を細め、盛んに拍手を送った。
 渕上清市長のあいさつに続き、歌手・新沼謙治さんが作詞・作曲を担った『ふるさとは今もかわらず』が流れる中、見送りが行われた。船体が少しずつ岸壁から離れていくと、詰めかけた市民らが「お元気で」「また来てね」と乗船客らに呼びかけながら黄色いハンカチを振り、「にっぽん丸」としては最後の大船渡寄港を締めくくった。