12月1日から実証実験 AIオンデマンド交通「たかたスマートモビリティ」 市議会全員協議会で当局説明
令和7年10月1日付 2面

陸前高田市議会の全員協議会は9月30日に開かれ、市当局がAIオンデマンド交通「たかたスマートモビリティ」導入に向けた実証実験の概要を説明した。人工知能(AI)を活用し、効率的な配車と最適なルート選択を可能にする乗り合い型の新たな交通サービスで、実験は12月1日(月)から来年3月末まで実施する。
AIオンデマンド交通は、時刻表や決まった経路を設定せず、予約状況などに応じてAIが選んだ最適ルートを走るサービス。スマートフォンのアプリやコールセンターへの電話などで配車予約を受けて運行する。
乗降場所を多く設定できるため、既存の路線バス停留所よりも自宅に近い場所で乗り降り可能となり、利用者の利便性向上、輸送コストの低減、交通空白区解消などが期待される。
実証実験は、市西部の循環バス「たかたコミュニティバス西部線」運行エリアの高田、気仙、竹駒、矢作の各町内一部地域で実施する。
利用予約は、スマートフォンのアプリ、ウェブサイト、電話から可能。いずれも会員登録が必要で、予約は利用直前でも受け付ける。
誰でも利用でき、運賃は大人200円、高校生以下100円(未就学児や障害者は無料)。アプリやウェブ予約の場合は、大人100円、高校生以下50円と半額になる。
乗降場所は、たかたコミュニティバス西部線の既存停留所や医療施設、商業施設、主なごみ集積所の計100カ所に設定する計画。実験期間中は同西部線を運休する。
運行時間は午前9時~午後5時(正午~午後1時30分を除く)で、年末年始を除いて毎日走る。車両は9人乗りハイエースを使い、運行事業者は㈱気仙タクシー、高田タクシー㈲が交代制で担う。
事業費は1884万円。国からの交付金を活用する。
市は今月下旬に開催する市地域公共交通会議で実証運行について提案し、承認後、東北運輸局に運送許可を申請する。並行して高齢者らに事前登録や予約の説明会を地区コミュニティセンター単位で随時開催し、周知に当たる。
同市では、循環型のコミュニティバスが高台や中心市街地を運行しているが、経路の複雑さや便数の少なさから利用が低迷している。市は持続可能な公共交通ネットワークの構築に向け、市外から訪れる観光客も対象に含めたAIオンデマンド交通の導入を検討してきた。
市まちづくり推進課の馬場勝基課長は「オンライン予約などをスムーズにできるよう今後開催する説明会などで市民に丁寧に説明したい。よりドア・ツー・ドアのサービスに近いような制度設計を図っていきたい」と話す。
AIオンデマンド交通の運用イメージは別掲。