気仙に早くも〝冬〟告げる 「雪っこ」の初出荷式 酔仙酒造㈱大船渡蔵 今年も『日本酒の日』に合わせて(動画、別写真あり)

▲ 初出荷式が行われた「雪っこ」の箱詰め作業を行う社員ら

 陸前高田市の酔仙酒造㈱(金野連代表取締役社長)は『日本酒の日』の1日、大船渡市猪川町の大船渡蔵で冬季限定商品「活性原酒雪っこ」の初出荷式を開いた。社員たちは今年も気仙に冬の訪れを告げる味が完成し、消費者に届けられることを喜ぶとともに、醸造作業の安全と多くの人々に愛される商品ができるよう願いを込めた。4日(土)には、同蔵で3回目となる「雪っこまつり」を予定している。(三浦佳恵)

 

4日には「まつり」を開催

 

 同社では例年、日本酒造組合中央会が日本酒(清酒)の普及を推進しようと設定した『日本酒の日』の10月1日に合わせ、雪っこの初出荷式を開いている。
 式は雨の中で執り行われ、社員ら約20人が参加。神事では、金野社長(65)と杜氏の金野泰明取締役(49)が玉串を奉てんし、醸造作業の安全とおいしい酒の出来を願った。玄関先には、新酒の完成を知らせる新しい緑色の杉玉を掲げた。
 金野社長は「高温続きで大変だったが、やっと慣れて今年もおいしい酒ができた。でも、これからがスタート。お客さまにおいしいと言ってもらえる酒を造っていけるように頑張っていきたい」とあいさつした。
 その後、雪っこを積み込んだ車両が取引先へと出発。雨の中、社員らは拍手で見送り、今年も多くの消費者に親しまれるよう期待を寄せた。
 同社の主力商品である雪っこは、昭和45年に誕生。とろっとした口当たりと、米の甘みやうまみが味わえる一品で、気仙の冬を代表する酒として親しまれている。
 気仙でも近年は夏場の暑さが厳しさを増し、同社によると、米の質や環境などに変化がみられているという。こうした変化に対応しようと、今年は仕込み用のタンクを冷やして熟成期間を延ばすといった改良を重ね、完成を迎えた。
 今年の総出荷量見込みは約10万㍑で、同日は瓶入りや缶入りなどで7000㍑を出荷した。金野社長は「近年の暑さなどに対応し、低温にしながら熟成期間をちょっと長くして、まろやかさを追求した。すぐ飲んでも、おいしいと言ってもらえる酒になったかなと自負している」と話していた。
 同社は4日午前9時から、大船渡蔵で「雪っこまつり」を開催する。完成したばかりの雪っこを無料で振る舞うほか、同社商品の有料試飲や利き酒大会、蔵の見学、秘蔵酒の量り売りなどを計画。杜氏が作るこうじの甘酒、アユの塩焼き、さんまのすり身汁、射的、型抜きなどのミニ縁日コーナーも設ける。
 時間は午後3時まで。駐車場に限りがあるため、できるだけ乗り合わせでの来場を呼びかけている。
 問い合わせは同社(℡47・4130)へ。