累計2000㌧を突破 市魚市場の8、9月サンマ水揚げ実績 前年上回り好調を維持

▲ 8、9月の水揚げ量が累計で2000㌧を突破したサンマ=大船渡市魚市場(9月30日)

 大船渡市魚市場における8、9月のサンマ水揚げ実績は、数量が2339㌧、金額(税込み)が10億6675万円で、いずれも前年同期を上回るペースとなっている。9月末時点で2000㌧を突破したのは、同時期で3436㌧の水揚げがあった平成30年度以来となり、令和に入ってからは初めて。全国的に好調が続き、13年ぶりに漁獲、操業規制が発令されるなど、近年にない盛り上がりを見せる中、水産関係者らは好漁の継続に願いを込める。(菅野弘大)

 

 市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)によると、8月は初水揚げの1回にとどまり、水揚げ量は28㌧で、金額は2817万円。9月に入ってコンスタントに上積みを重ね、数量は2311㌧、金額は10億3858万円となった。入港隻数は計33隻だった。
 昨年8、9月の水揚げ総計(9月30日午前まで)は、数量が1257㌧、金額は6億6817万円。今年は数量で前年同期の1・8倍、金額は同1・4倍と、いずれも上回る。
 大船渡の今季サンマ漁は、鎌田水産㈱(鎌田仁社長)所有の大型船・三笠丸6隻を中心に、8月29日の初水揚げから、定期的にまとまった量を水揚げ。9月には水揚げが300㌧を超える日も相次いだ。
 漁期の初めは、大船渡から2昼夜以上かかる公海が主漁場で、サイズも近年にない大ぶりな魚体が大半を占めた。徐々に北海道近海でも漁獲されるようになり、サンマの水揚げ日本一を誇る花咲港では、水揚げを行う漁船が集中し、漁港の受け入れ、処理が追いつかない事態に。全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)では、漁獲可能量(TAC)の到達も懸念し、全国統一で水揚げ後24~48時間の休漁措置を実施した。今月からはロシア海域での操業も始まり、大型船は2週間で4回、中・小型船は6回という制限の中で漁を行っている。
 第二十一三笠丸の畠山英樹漁労長(56)は「魚群も漁場もばらばらで、ある程度のめどをつけて漁に向かうが、魚がいなければ公海など遠くの漁場まで行くことになる。サイズも場所によってさまざま。生き物を取りに行く仕事だから、そこは仕方がない」と割り切る。
 東日本大震災前の数量(いずれも年度)は平成20年が3万400㌧、21年が2万9081㌧、22年が2万1687㌧。23年は震災で被災したが、1万㌧後半をキープした。
 その後は、24年が2万385㌧、25年が1万4585㌧、26年が2万7133㌧、27年が1万3684㌧、28年が1万3845㌧、29年が1万1088㌧、30年が1万7379㌧と推移。しかし、令和に入って1万㌧を割り込み、元年と2年はいずれも6000㌧台前半、3年は平成以降で最低の2471㌧にとどまった。4年と5年は3000㌧台とやや回復し、昨年は5000㌧台と上向いた。
 一般社団法人・漁業情報サービスセンターが発表した本年度第3回サンマ中短期漁況予報によると、道東海域では来遊量が増加し、今月上旬には中位水準となる見通し。三陸海域は同中旬以降に来遊がある見込みだが、低水準。同中~下旬は三陸北部、11月上~中旬は三陸南部にも漁場形成があるとしている。
 大船渡魚市場の佐藤光男専務は「過去6年間の落ち込みを考えれば、今年は良いペースなのでは。かつては2、3万㌧を揚げていた時代もあり、前年超えにとどまらず、1万㌧台を目指したい。ロシア海域では、100㌧以上漁獲した船もあるようで、これからの物量がどの程度入ってくるかだ」と話す。