郷土の文化継承へ決意新た 陸前高田で初開催 県高文祭の総合開会式(別写真あり)
令和7年10月4日付 7面

第48回県高校総合文化祭(県高等学校文化連盟、県教委主催)の総合開会式は3日、陸前高田市高田町の奇跡の一本松ホールで開かれた。同市での開催は初めて。ステージに立った気仙地域の生徒らが、熱のこもったパフォーマンスや各種企画を展開し、東日本大震災後の復興にも触れながら、長きにわたり培われてきた郷土の文化を継承していく決意を新たにした。(阿部仁志)
県高総文祭は、県内の文化活動の活性化や芸術文化活動の相互交流を図ることを目的に毎年開催。総合開会式の会場は、気仙を含む10支部の持ち回りとなっている。
今年の全体テーマは「その音で その色で その言葉で 岩手に吹くは文化の風」。12月までに、計20の専門部の展示や発表、大会など各種行事が行われる。
気仙地区での開催は、平成24年の大船渡市会場以来で、陸前高田市では初めて。総合開会式の開催に向けては、同市の県立高田高校(伊藤正則校長、生徒340人)が事務局となり、気仙支部実行委員会や各種委員会を開きながら準備を進めてきた。
総合開会式テーマは「白砂青松~ケセンに流るる文化よ永遠に~」。式には気仙を含む県内の高校生約550人のほか、各校、主催関係団体の関係者、一般の地域住民らが来場した。
はじめに、大船渡市の県立気仙光陵支援学校が、地域の伝統芸能である「権現舞」を披露。頭や才舞、はやしの役を担った同校生徒が、迫力ある演舞でオープニングを飾った。
続いて、同式生徒企画委員長の荒木栞蓮さん(高田高2年)が来場者を歓迎。「開会式テーマには、今日まで継承され続けてきた、さまざまな文化を高校生が受け継いでいきたいという思いが込められている。私たちが文化活動を通して発信し続けることが、地域を照らす明るい光になることを願う」と語った。
連盟旗入場と専門部の紹介、気仙支部の生徒による国歌斉唱のあと、川﨑広幸県高校文化連盟会長は「高校生の皆さんが文化芸術活動に熱心に取り組み、さまざまな大会や地域において活躍する姿は、地域づくり、ふるさと振興の観点からも大きな役割を果たしている。岩手の豊かな文化芸術を受け継ぎ、さらに高めていく担い手として大きく成長されることを期待する」とあいさつ。佐々木拓陸前高田市長も祝辞を述べた。
表彰では、同連盟の発展に尽くした功労者や、連盟賞受賞生徒、今文化祭テーマとポスターの公募における最優秀賞受賞生徒らをたたえた。
このあと、気仙の生徒らによるステージ発表を展開。高田高書道部による三味線演奏と書道パフォーマンスのコラボレーションや、大船渡東高太鼓部による「気仙町けんか七夕太鼓」の演奏、各校吹奏楽部員による合奏で、気仙の活力を発信した。
「生徒企画」とし、気仙の豊かな自然と人々の営みを伝えるクイズや、各校の学校紹介も実施。「復興へのあゆみ」をコンセプトにしたステージでは、大船渡高の大平莉奈さん(2年)が谷川俊太郎の詩『生きる』の朗読、高田高の畠山薪吏さん(2年)、佐藤花菜さん(同)、熊谷琉花さん(同)の3人によるメッセージ発表を行い、震災後の地域の歩みと、人の思いによってつながる文化とを関連づけながら「文化は今生きている人の中で続いていく。そして、これからも」とまとめた。
フィナーレでは、出演者全員がステージに登場。吹奏楽による演奏と来場者からの手拍子に合わせながら笑顔で体を揺らし、陸前高田で開会式が開かれたことへの感謝を表すとともに、来年度の文化祭へ思いがつながることを願った。