気仙の冬の味 心ゆくまで 利き酒大会や蔵見学など楽しむ 酔仙酒造大船渡蔵 3回目の「雪っこまつり」(別写真あり)
令和7年10月5日付 7面

陸前高田市の酔仙酒造㈱(金野連代表取締役社長)による「雪っこまつり」は4日、大船渡市猪川町の同社大船渡蔵で開かれた。冬季限定商品「活性原酒雪っこ」の出荷開始時期に合わせた催しで、3回目となった今年も雪っこの無料振る舞いをはじめ、利き酒大会や蔵見学などを実施。県内外から世代を超えた来場があり、気仙の冬の味である雪っこと地元のグルメなどを心ゆくまで堪能し、さまざまなプログラムを楽しんだ。(三浦佳恵)
まつりは、消費者らに日頃からの感謝を表そうと令和5年に初開催。今年は大船渡蔵の駐車場にメーン会場が設けられ、各地から家族連れやグループなどが足を運んだ。
会場では、1日に初出荷が行われた雪っこが無料で振る舞われ、来場者らはさっそく乾杯。自社のこうじを使った甘酒などのノンアルコールドリンク、アユの塩焼き、さんまのつみれ汁などの販売も行われ、じっくりと味わった。
また、射的やかたぬきが楽しめる縁日コーナーは、子どもたちに好評。雪っこをはじめとした同社商品、この日限定の秘蔵酒の販売も人気を集めた。
蔵内では、雪っこなど同社の日本酒5種類を飲み比べ、どの商品かを当てる「利き酒大会」を開催。参加者らは、味や香り、色の違いなどに注意をしながら解答用紙に記入した。
正解数に応じて、参加者には晩酌セットや雪っこを原料にしたスキンケア商品などの賞品が贈られた。見事、全問正解を果たした藤原勝子さん(79)=立根町=は、「うれしい。毎日晩酌をしているおかげかなと思う。今年の雪っこもおいしかった」と話し、笑顔を見せていた。
蔵ではこのほか、見学会も行われ、杜氏の金野泰明取締役が同社の歴史や東日本大震災からの復旧・復興を交えながら酒造りを紹介。来場者らは、先月下旬に仕込み作業が行われたタンクの中を特別に見せてもらい、もろみの状態や香りを確かめた。
金野取締役は「どうやったらおいしい酒ができるか、みんなで考え、酒質を高めながら造っている」と、酒造りに込めた思いも伝えた。
この日は、岩手大学人文社会科学科2年の水野千星さん、菅原響さんの2人が、「陸前高田イタルトコロ大学」の活動でまつりの運営に協力。来場者らと交流も深めた。
赤崎町出身の水野さんは「気仙のお酒が愛されていると知り、皆さんの笑顔が見られてうれしい」と、菅原さんは「蔵を見学して、酔仙の名に込められた思いなどを聞き、ますます魅力的な酒と知った」と語った。
金野代表取締役社長は「観光振興などの一助になればとの思いもある。今後も、このまつりが地域に足を運んでもらえる一つのきっかけになれば」と話していた。