設備導入拡大に苦戦 住宅用太陽光発電 9月末の申請13件 予算の3割余にとどまる

申し込み今月末まで

 

 環境省の脱炭素先行地域に選定されている陸前高田市が、住宅用太陽光発電設備や木質バイオマスストーブ(ペレットストーブ、薪ストーブ)導入拡大に苦戦している。家庭における再生可能エネルギー利用促進に向け、本年度、導入を後押しする独自制度の補助額を大幅に拡充したが、太陽光発電設備の申請件数は9月末時点で13件と、確保している予算(40件分)の3割余りにとどまる。申請は今月末まで。市は来年度を見据え、補助制度の見直しや周知など利用促進策を検討していく。(高橋 信)

 市は先行地域選定を受け、環境への負荷が少ない再生可能エネルギーの地産地消、地域経済の循環を推進しようと、本年度、従前の助成制度を大幅に拡充。補助額は、太陽光発電設備が従前の8倍となる最大80万円、木質バイオマスストーブが同7・5倍の最大75万円に増額し、地域共通商品券から現金給付に切り替えた。
 先行地域計画の主要エリアは、中心市街地や横田地区と定めており、同助成制度のエリア内における補助は国が、エリア外は市が負担する仕組み。9月末における太陽光発電設備申請数はエリア内が5件、エリア外が8件で、交付総額は1040万円となった。
 木質バイオマスストーブは、10件分の予算を確保しているのに対し、申請数は同月末現在4件で、申請者はいずれもエリア外。交付総額は242万円だった。
 太陽光発電設備の交付要件には新品で、設置前の申請が必須であることや、余剰電力を地域電力会社に売電する契約を結ぶことなどを盛り込む。手厚い補助があっても、自己負担は必要であり、交付要件をクリアしてまで設置するメリットを打ち出せていないことなどが、申請の伸び悩みの背景にありそうだ。
 政府は、2050(令和32)年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。脱炭素先行地域は政府目標に先駆け、2030(令和12)年までの脱炭素化実現を目指す地域を指し、国から交付金が受けられる。
 市は昨年9月、先行地域に選ばれた。本年度から令和11年度までの5年間、県や民間企業・団体など24の共同提案者とともに、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)、メタン発酵バイオガス発電、電気保安人材の育成・確保などの事業を展開。5年間の総事業費は約58億円を見込み、内訳は国からの交付金約34億円、市財源1億円、民間事業者資金約21億円などとなっている。
 住宅用太陽光発電設備や木質バイオマスストーブの導入補助は、事業の柱の一つ。従前制度の補助額は上限10万円で、地域共通商品券で交付していたが、手厚い補助内容に見直した。
 市まちづくり推進課の小野勝彦課長補佐は「当初の想定よりも利用が進まなかったという反省はある。制度の周知を図るとともに、実態に則した制度内容に一部見直せるか、内部で検討していきたい」と話す。
 補助内容は別掲。問い合わせは、同課生活環境係(℡54・2111内線122)へ。