施策推進へ「声」集める 住民懇談会がスタート 新たな総合計画テーマに

▲ 五葉地区を皮切りに、住民懇談会がスタート

 住田町による住民懇談会は7日夜、上有住の五葉地区公民館を皮切りに始まった。令和11年度までを期間とする新たな総合計画が本年度スタートした中、懇談会は住民らに計画の概要や重点的に取り組む課題などを示す場として、15日(水)まで町内5地区で開催していく。初日の会場では、出席住民から鳥獣被害対策の必要性や少子高齢化の影響など地域の実情を訴える声が上がり、町では吸い上げた意見を施策の推進へと生かしていく。9日は上有住地区公民館を会場に開かれる。(清水辰彦)


 町は新たな総合計画で、子育て・福祉・介護などの「医」、農林業・商工業・観光業など町内の産業に関する「食」、社会基盤やコミュニティーなどの「住」、地域づくりや行政運営などの「地域経営」──の四つを政策軸とする基本計画を掲げている。
 この中では、全庁を挙げて取り組むべき施策として▽新たな公共交通▽人づくり▽在宅医療介護▽移住促進▽産業づくり(地域内付加価値創造)▽コミュニティー活性化──の六つのプロジェクトを定め、重点的・分野横断的に進めている。
 住民懇談会は、広く町民に計画を示すとともに、計画推進に向けて意見を募ろうと開催。初日は上有住の五葉地区公民館で開かれ、神田謙一町長や小向正悟副町長、松高正俊教育長、課長級職員らが並び、住民ら約10人が出席した。
 はじめに、神田町長が「計画を進めるには皆さんのご理解、ご協力が不可欠。当局、議会、町民が認識を一つにしながら、着実に歩みを進めていきたい。忌たんのない意見をいただければ」とあいさつ。
 引き続き、町が総合計画の概要、各課の重要施策について説明。重要施策のうち、総務課では「地域防災体制の充実」に取り組んでいる。昨年度行った住民アンケートでも防災体制整備の重要度が高く、町では防災士の養成などによる自主防災組織の体制強化に努め、発災時に迅速に対応できる体制を構築していく。
 一方、住民税務課では11月からコミュニティバスの再編とデマンド交通の実証を行い、交通不便地域の解消を目指す。本格運行は令和8年度からを見込む。
 このほか、企画財政課は空き家対策、保健福祉課は野菜摂取量の「見える化」、農政商工課や林政課では増加している鳥獣被害への対策、建設課は水道水供給と汚水処理、教育委員会ではコミュニティー活性化に、それぞれ力を入れて取り組んでいる。
 説明後は質疑応答となり、住民側からはクマ出没時の対応など鳥獣被害対策の強化、人口減少と少子高齢化に伴い運営が厳しさを増す自治公民館への支援などを求める意見や、近年、町内でも急速に数を増やしている太陽光パネルに関して町としてどのように対応していくかを問う声が上がった。
 今後の説明会でも、地域ごとに細かな課題とその解決に向けた要望が寄せられることも予想される。町ではさまざまな声に耳を傾けながら、行政と地域が一体となっての計画推進を図っていく。
 今後の日程次の通り。時間はいずれも午後7時から。
 ▽9日=上有住地区公民館
 ▽10日(金)=下有住地区公民館
 ▽14日(火)=大股地区公民館
 ▽15日=町役場町民ホール